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ある歌手のヒット曲に「いいお友達ばかり増えていく」という一節がある。
つき合うとか、結婚とか具体的に進展しない関係ならばそうなってしまうだろう。
宗親には、それが受け入れられそうもなかった。
「お断りするなら、早い方がいい」
振り返ってみると、自分は頑張って話題を作り、笑顔を作り、マニュアル通りにお見合いを進めていた。
彼女も同様だった。
顔も性格も、何もかも普通の自分が無理をしてキャラづくりをしていたのだ。
「もしも、自然に振舞っていたらうまくいったのかな」
つぶやいてみたが、うまくいくプランが見いだせなかった。
すぐに、お断りの通知を「シャ・トロワ」へ送った。
彼女にも届いたはずだ。
いったい、何を感じるだろうか。
とても気になったが、お断りした後のアクションはルール違反である。
「さようなら」
翌日、彼女もお断りを入れたことが、通知された。
了
この物語はフィクションです
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