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プロローグ ――神がいた時代――
文明の黎明期、南国の島の豊かな森の中に白い神殿があり、その周囲に数千人が暮らしていた。
人々は魚を取り、タロイモを育て、石や植物を利用して日用道具を作り、それらを分かち合う。集まっては太鼓を打ち鳴らし、歌をうたい踊り、老人は子供に物語を語り、子供は両親と共に野や海へ出かけて生活の糧を求め、そして遊ぶ。
人々は人生と季節の節目になると神殿の神に祈り、欲に縛られない生活を送っていた。それは贅沢な暮らしではなかったが、彼らは十分幸せだった。
神殿が造営されてどれほどの時が過ぎていたのかは誰も知らない。人々がそこに住み着いたときに、神殿はすでにあったからだ。
神殿は、雷や嵐で壊れても、翌日には自らの力で修復していた。そのために人々は、見えない神が住んでいるのだと考えた。
住民たちがその神殿とそこに住む神を崇めるのは自然なことだ。しかし、その時代の価値を信じない者は、いつの世にも生まれる。1人の男が白い神殿に住む神の力を手に入れれば、一族の永遠の繁栄と幸福を手に入れられると考えた。
男は神殿に忍び込み、神の力の源を盗み出した。
そして男は永遠の命を得、神殿は崩壊して白い砂山と化した。
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