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玲奈がページをめくる。
「……4ページ目は、〝歴代の所有者〟が記載されており、6名の所有者が見られた。尚、7番目の名前は当研究所の研究員であり、鑑定依頼時には記載されていなかったものである。
初代 アダムート王
二代 カリハラル大司教
三代 カリハラルⅡ世
四代 イト王
五代 ハン
六代 棚橋猛……」
玲奈が息をのむ。
「なるほど……」
「どうしたの?」
春花は尋ねた。
「最後のところには、所有者の名前が彫られているらしいわ。山本直人というのは、研究員の名前ね。昔の写真では……」
玲奈はろうそくの明かりに報告書を近づけると、報告書に貼られた写真を改めて見直した。
「……日本語の名前は一つだわ。さっきは気付かなかったけれど、棚橋猛と読める」
「その報告書が書かれたとき、この〝希望の書〟は曾おじいさんの所有で、今は私が所有者ということ?」
刻まれた名前が呪いや祟りとは無関係だと分かると、春花の気持ちは落ち着いた。
「一度は、山本という研究者のものになった時期があるということね。それから、お父さんの所に戻ってきたのね」
「何があったのかしら?……でも、呪いじゃないなら私はいいわ」
春花は〝希望の書〟に彫られた夫の名前を指でなぞった。
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