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【六十四話】戦闘開始
ド ンッッッ!!!!
ガッシャーンッ!
ドスンッ !!
時間が経つにつれて音が増え、大きくなっていく、、、、
朝だった筈なのに今は昼で·····テオは帰って来ない。
「ルイスお兄ちゃん·····っ」
「大丈夫。此処にいれば絶対に」
オレは不安そうにする二人に大丈夫だと言う。
テオは···いや、、ハドラさんや他の皆は大丈夫なのか???
他の子供達も心配だ。
そんな時、突然ドアが開く。
オレは即座に立って鞘から剣を抜いたが、侍女が負傷した状態で慌てて中に入って来てドアを閉める。
確か·····いつも二人のお風呂を手伝ってくれる侍女さんだ。
「大丈夫ですかっ?!」
オレは侍女の方へ向かうと、侍女はオレの足を掴み「ルイス様!急いで隠れて下さいッ!!巨大なバケモノとワダウ国が攻めて参りました!!」と言う。
「!」
ワダウって·····確か前にドゥイっていう王子が正妃と側妃になれないのをオレのせいだと言った国か、、、
あの王子だけがオカシイのかと思ったが王もなのか··········。
それに
巨大なバケモノって·····
「!、まさか─────···
ドオオオオンッッ!!!!!
「?!?」
ドアに何かが勢い良くぶつかる音がする。
オレは侍女の腕を掴んでベッドの方へ連れて行き、剣を構えてつつドアの方へ行くと深呼吸してからドアノブを持って開ける。
「な”っ?!」
巨大な物体が防壁に当たって、バチバチバチィッと凄い音が鳴り、耳を塞ぎたくなる様な奇声を上げている·····。
「皆絶対にそこから動くなッ!」
ベッドに居る二人と侍女に言うとオレは後ろに数歩下がって術式を展開し、五本の火の槍をその怪物へ向けて放つ。
「Ё◥?#↑=Ё%◥↑==":◥К/"??!!」
このよく分からない言語は間違いない···あの怪物だ。
ワダウの王血迷ったかッ!
この怪物はダイランが生み出した者だ。
だから、この怪物がいるという事はワダウとダイランは手を組んだに違いない。
オレは次の術式を展開してその怪物を覆う様に火柱を発生させて一気に燃やす。
それだけだと殺せないと思っていたが何故か怪物はみるみる灰になって消えた。
脆い???
テオの防壁魔法のおかげなのか?
「はぁ···············早くテオに報せないと···。三人は此処に居てくれ」
「えっ?!ルイスお兄ちゃんは?」
二人が慌ててベッドから此方に来そうになり、
「駄目だ!!そこから動くなッ。オレはテオに知らせる。侍女さんは今から此処に逃げ込んだ人の手当てをして下さい、薬等はそこの箱にあります。イリス君、ファニーちゃん、良い子にね」と話す。
「·····っ、···帰ってくる?」
イリス君を見ると泣いていた。
後で強く言ってしまった事を謝ろう·····。
「うん、皆で出掛けたいからね。あ···そうだ!これ、テオが持っている筈だからこの石に話し掛けてくれるかな?オレがダイランの事で探してるって伝えて欲しい」
そう話しながらファニーちゃんへ映像石を渡す。
「分かりました··········『ダイランの事で探してる』と必ず伝えます。ルイスお兄ちゃん···必ず帰って来て下さいね、、」
ファニーちゃんは泣くのを我慢しているのか目が潤んでいる。
「約束する。必ず帰ってくる」
オレはベッドに居る二人の頭を撫でた後、ドアへ向かう。
「···································。」
そして、、、
出るなと言われた部屋を飛び出してテオを探しに向かった。
「テオーーーッ!!ハドラさんッ!!いますか?!」
オレは所々崩れてボロボロになった廊下を走り、あの怪物を見付けては燃やして灰にした。
修繕工事をしていたのにオレが沢山魔法を使ったせいで壁や天井を破壊してるから·····関係者の方には申し訳なくなる。。。
怪物から助けた負傷者や逃げていた人達にテオの部屋に入る様に言うとオレは怪物を引き続き探す。
色んな人に尋ねた所···どうやらテオは街と門の方へ騎士や魔法士を連れて出て行ったらしい。
彼処はワダウ国との戦争でオレは城で怪物との攻防戦···············。
城で戦えるのが今はオレしかいないみたいだ。
これじゃあ······まるで···グルファの時と同じだ·····。
違うのは兵では無く怪物になっただけ、、、
「でも、今回は一人でも多く助ける」
あの時とは状況が違う。
今は昼で視野には困らない。まだ、足掻けば助けられる。
「誰かいませんかー?」
大声を出しながら進んで行くと厨房でガレイズさん達が怪物に襲われていて、オレは素早く剣を怪物の足に刺し、直ぐに腕をはねてから胸を貫いて燃やす。
戦っていて確信したけど、三月の時の怪物とは違い脆い·····いや、再生能力が遅い。
「皆さん大丈夫ですか?怪我は?」
汗を拭いながら尋ねると、
「ルイス様ありがとうございます。俺達は無事です」と、ガレイズさん達が笑顔で言ってくれてオレは胸を撫で下ろす。
「よ、かった··········。早くテオの部屋に行って下さい。怪物はオレが何とかします」
「で、ですがルイス様·····貴方一人じゃ危険です」
「我々と一緒に避難しましょう、」
ガレイズさんやシェフの皆が心配してくれる。
でも、、、
「オレは大丈夫です!一応シオドアさんに鍛えられてますからね。さ、行って下さい」
「····················分かりました。ルイス様ご武運をっ」
オレとガレイズさん達はそこで別れた。
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