友情リライト

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こうして私と桜ちゃん、二人での創作活動が始まった。さっそく私たちは一緒に短編小説を作って、ネットの掲示板にアップした。しかし3か月経っても、閲覧数はなかなか伸びず、読者からの反応もなかった。 とある日曜日。私の部屋に、桜ちゃんが遊びに来てくれた。これまでの気づきを踏まえて、今後どういう作品を作っていくか、桜ちゃんと話し合うのだ。私は自分のタブレットを操作すると、とある小説投稿サイトにアクセスした。 私たちは心機一転、このサイトに作品を投稿することに決めた。私はタブレットを操作して、サイトの会員登録を終えた。その様子を隣で見ていた桜ちゃんは、今考えている小説のアイデアを、私に話してくれた。 「やっぱり多くの人に読んでもらうには、長編を書く必要があると思うの。だからね、ワンちゃんが主人公の冒険ファンタジーとかどうかな? 勇者になったトイプードル・ココが、色んな動物と出会って成長していくの」 その話に興奮した私は、桜ちゃんに思わず抱き着いた。  「すっごく面白そう! タイトルは『勇者犬・ココの冒険』なんてどう?」  そこまで口にした私は、床に置いたタブレットに視線を落とした。そして、暗い声で続けた。 「でも、私。動物ってあんまり描いたことないんだよね。前の掲示板で描いていた人間のキャラすら、上手く描けなかったのに」 インターネットの世界では、表紙の出来が読者数に直結することを、私は身をもって感じていた。渋る私を見たさくらちゃんは、私の頭を優しく撫でた。 「大丈夫だって。のぞみちゃんなら、きっとできる!」 私は桜ちゃんの言葉に、そうだね、とか細い声で答えた。桜ちゃんの目を見つめることは、できなかった。それから私たちは文章と絵、それぞれの制作に取りかかった。 「よーしできた! 次こそたくさんの人に読んでもらえますように」 私は桜ちゃんの方を向いて、両手を伸ばした。桜ちゃんも「だね!」と笑うと、私の掌に両手を合わせた。パンという明るい音が、部屋中に響いた。 その日、私と桜ちゃんは「勇者犬・ココの冒険」の第一章と表紙絵を、サイトに投稿した。
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