0人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日の月曜日は、祝日でお休みだった。私は近所の公園で、桜ちゃんと待ち合わせをしていた。ここまで執筆が続いていたから、気分転換に体を動かそうと、桜ちゃんと話したのだ。
ただ空はあいにくの空模様で、今にも雨が降ってきそうだ。今日は天気予報を見ずに出てきたので、私は傘を持ってきていなかった。
私が入り口近くのベンチに座ってタブレットを触っていると、正面から桜ちゃんがやってきた。桜ちゃんは白いワンピースを着て、頭に桃色のカチューシャをつけていた。桜ちゃんも、傘は持っていなかった。うきうきした様子の桜ちゃんは、私に駆け寄ってきた。
「おはよう、のぞみちゃん。昨日更新した第2章のGoodの数、どうなってる?」
私は無表情のまま、桜ちゃんにタブレットを向けた。すると、画面を見た桜ちゃんの顔が急に青ざめた。
「え。これ、どういうこと……」
画面の一番下には、第2章へのコメントが1件、書かれていた。コメントの隣に表示されているGoodの数は、3。
(お話は普通に面白いけど、絵が下手すぎて見てられない。絵描くの、やめほうがいいよ)
私たちの作品を見た誰がが、この感想を書き込んだのだ。私は透明なナイフでめった刺しにされたような激しい痛みを、胸に感じた。
絵が下手すぎて見てられない。すると突然雨が降ってきて、私の体を激しく濡らした。絵描くの、やめほうがいいよ。だけど私の胸から流れる血は止まることなく、いつまでも流れ続けた。
痛くて、恥ずかしくて、苦しくて。私はさっきから桜ちゃんの目を、見られなかった。雨に濡れた前髪が額に張り付いて、頭が重たい。私は震える声で叫んだ。
「このコメントの言う通りだよ。私の絵が下手なのがいけないんだ。全部、私が悪いんだよ!」
すると桜ちゃんは首を大きく横に振って、ぎゅっと私を抱きしめた。桜ちゃんもずぶ濡れで、唇は紫色だった。桜ちゃんは私を見つめると、怒ったような顔で語った。
最初のコメントを投稿しよう!