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「違うよ、のぞみちゃん! さっきのコメントは感想じゃなくて、誹謗中傷だよ。絶対にやっちゃいけないことだよ! だから桜ちゃんが真に受けて、自分を責めることなんてないんだよ。だか」
「でも実際、ほとんど読まれてないのは本当じゃん!」
私の叫び声が、桜ちゃんの言葉を遮った。さっきから息をするのが、苦しい。手は震えていて、目の前は真っ黒だ。私の心に灯っていた情熱の炎は、一気に消えてしまった。
「もう嫌だ! 私、これ以上、桜ちゃんと一緒にお話なんて作れない!」
私は桜ちゃんを置いて、ひとり公園を飛び出した。激しい雨が、私の顔を激しく叩いた。後ろから桜ちゃんが私を呼ぶ声が聞こえたけれど、すぐに雨音に掻き消されてしまった。桜ちゃん、ごめんね。私は心の中で何度も呟いた。
この日を境に、私は、桜ちゃんと距離をとるようになった。
私は学校で、桜ちゃんと話さなくなった。一緒に食べていたお昼ご飯も、別々に食べるようになった。桜ちゃんもなんて声をかけたらいいのか分からない様子で、遠くから私を見つめていた。
私はあれだけ好きだった絵も、描くのをやめた。代わりに机に座って、ぼんやりと窓の外の景色を眺めていた。そんな日々が、2週間ほど続いた。
週末の日曜日も、私は一人で部屋にいた。最近はいつも桜ちゃんが遊びに来てくれていたから、私以外誰もいない部屋は、なんだかよそよそしく感じられた。私がテレビを見ていると、タブレットから着信音が鳴った。
なんだろうと私が確認すると、小説投稿サイトからの通知だった。メッセージには、「勇者犬・ココの冒険」の最新話が更新された、とある。桜ちゃんが一人で更新したのだろうと思った私は、反射的に読むボタンをタップした。
次の画面に現れた「私の大切なお友達へ」というタイトルを見て、私は目を見開いた。
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