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俺は今、薙ぎ倒したやつらを一纏めに縛って、どれくらい俺らに迷惑をかけたかを、こんこんと説明しているところだ。
「あのさぁ、どっちの組の島かを決めるために抗争してたみたいだけど、その前にここは夜桜の管轄なんだよねー。裏社会を生きてるんだったら、それぐらいのことわかるはずだけど?」
「ひ、ひぃぃ、す、すみません。まさか、よ、夜桜の方に迷惑をかけるとは思ってなくてっ。ここの島はもう取り合わないので、み、見逃してもらえないですか?」
自分たちとの圧倒的な差を嫌というほど見せつけられた後に、あれ程無表情だった子がニコニコと死んだような、笑ってない目で話しかけてくることに恐怖を覚えている。
さらに、この綺麗な子は夜桜と言っているのだ。裏社会の中で、夜桜を敵に回してはいけないという暗黙の了解があるほど、恐れられている、あの夜桜だと…。
「あはは…。じゃあ、縄を解くけど大人しくおうちに帰ってねー。暴れたりしたらわかってるんだろうなぁ?」
ニコニコの迫力満点の美形に急に凄まれて、ヤクザたちはもう痙攣を起こしているのではないかと言うほど、震えている。中には恐ろしさのあまり失禁してしまったやつもいるようだ。
「は、はいっ。お、お、大人しく帰ります。」
「よし、帰れ。」
バタバタとお互いに支え合いながら、帰っていくヤクザたちを見て、実は仲良いんじゃね?って思ってると、伊織が歩いてくるのが見えた。
「伊織ーー、終わったぁー。」
「ああ、知ってる。三番隊の子たちが騒いでた。もうすぐあの子らもこっちにくるんじゃない?」
あ、ほんとだ走ってきてるじゃん。
「千晴さーん。今回も惚れ惚れするような捌き方でしたっ!俺らじゃ全然抑えられなくて、ありがとうございました!」
「ありがと〜♪相変わらず、可愛いね〜〜♪」
やたらと元気に俺に見えない尻尾を振ってくるのが、海
この子は本当に素直で可愛いっっっ♪
「闘う前の死んだような目で笑ってる顔も千晴さんの完璧な顔にマッチしてて、ゾクゾクするし、闘ってるときの無表情な千晴さんも迫力がすごいし、マジでカッコいいっ!!」
「アリガトー。毎回聞いてるから聞き飽きてきたよー。」
俺のことを力説してくれてんのが、陸
俺自身にはよくわからない、魅力を毎回力説してくれてる。
この子たちは、双子で周の弟だ。3人とも結構性格は違うけど、似てるとこもある…。俺の戦い方?が好きなとことか…
他の子たちも、手当を終わらせてからワラワラと集まってきて、ありがとうございます!とか、かっこよかったです!とかを口々に伝えてくれる。
「二番隊、三番隊、帰りまーす。」
「了解。気をつけてな。」
伊織と車に乗り込んで、定番の1番後ろの席を陣取る。
伊織の肩に頭を乗っけて、ウトウトしてると、暖かい安心する体温で頭を撫でられて、すぐにおれの意識は飛んでいった。
「おやすみ、俺の唯一。」
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