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「ふぁい。どーじょ?」
伊織が苺を半分咥えて、顔を近づけてきたから、もう半分に齧り付く。そうやって、黙々と苺を食べてると、旭兄が入って来た。
「ふわぁ、おはよー。伊織、俺もごはん。」
「おはよう。旭兄、あっちに置いてあるから勝手に食べて。」
向かい側に座った旭兄は、何とも言えない顔をして見てくる。
「お前らさぁ、その食べ方他所では絶対にするなよ?ここでもそろそろ普通に食べてもいいんじゃねぇ?当たり前のような顔して、2人とも食べてるけど、それ普通じゃないからな。」
「他所ではしてないから、安心して。俺はしたいんだけど、千晴が嫌がるから。」
「当たり前だ。」
旭兄はこうやって、たまに言ってくる。小さい頃から、俺たちの面倒見てくれてるから、俺たちのために言ってくれてると思うんだけど、伊織はやめるつもりがないっぽい。
俺もフルーツは美味しいし、特に困ってないから、やめる理由は特にないかなぁって思ってる。
旭兄は呆れたような顔をすると、俺を一瞬抱きしめて、出ていった。
……横に座ってる人の雰囲気が変わった
あー、伊織さん?
伊織はルビーみたいな瞳を濁らせて、俺に向かって、にっこりする。
「千晴、簡単に俺以外に触らせないでって、いつも言ってるよね?旭兄だからまだマシだけど、俺の千晴なのに他のやつに触らせるとか、気が狂いそうになる。いっそ、千晴を繋いで、この部屋に閉じ込めようか。」
伊織が言ってることは普通じゃない、わかってるけど、伊織を怖いとも思わないし、嫌いにだってなれない。
「伊織、ごめん。家族以外には触らせてないから許して?」
いつもは、旭兄とか身内だったら顔を顰めるだけで、何も言ってこないのに、今日は嫌がったということは、不安定なのだろう。
伊織は俺を抱き上げて、巨大クッションの所に連れて行くと、押し倒してのし掛かってきた。
「俺のものっだって、確かめさせて。」
だからぁ、さっきから?が付いてないんだって。
まぁ、伊織の好きなようにさせてあげるけど。
雰囲気もドス黒くなってるし、瞳も瞳孔開いてるし、俺を掴む手が逃がさないって言ってるみたいに力めっちゃ入ってる。
しばらく部屋から出れなさそうだなと思いながら、俺は伊織の首に腕を回した。
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