人生の解禁日

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「そうだね、いろいろだ。18禁と聞くと、えっっな意味を思い浮かべるけど、さにあらず!」 「は、はい! ど、堂々と18禁を語ってください」 「お、おう。そんな18禁の18歳って数字が一体どこからきたのかはわかんないけど、18歳になれば僕らを制約していたいろいろな18禁が解除され、何の制限も制約もない人生が解禁されるんだ。それで――」  僕の前向上に、女の子は戸惑いながらもうなずいた。 「あの子が引っ越してしまった後に、一度だけ直に会って指切りの約束をしたんだ。18禁が解ける18歳になるまでリハビリ頑張ろう。僕も18歳になるまで何か一つのことに頑張るよ、努力するよ。それで、笑顔で再会しようってね」  僕にとってその努力とは超能力を身に着けることであった。サッカー部とか吹奏楽部という部活動を頑張って大会に出てみるでもよかったんだけど、思い立ったが吉日で浮かび上がってきたのが超能力という言葉だった。 「あの子と再会できて、僕らは笑顔を見せ合ったとき、この超能力は消えてしまうんだよ。消えたって後悔はしないさ。だって、僕は、あの子に頑張ったよって笑顔を見せることができたのなら、一度しかない高校時代を使った価値はあったって思えるからさ」  自信満々にいう僕の今の顔は、素晴らしい笑顔に違いない。その証拠に、目の前の女の子は、同じく素敵な笑顔を僕に見せてくれていた。 「君はいま、いくつ?」 「来年で、18」 「そうなんだ。18歳になったら、いろいろ18禁が解除され、自由な人生が解禁されるよ。もう、世界がとてつもなく広く見えてしまって、いろんなことができるに違いないって思えるんだよ。とりあえず、君も18歳になるまで何か努力の一つでもしてみるといい。笑顔になるために、笑顔になれるさ。今だって、君は素敵な笑顔を見せているけどね。それ以上の笑顔が!」  僕はそう言い切り、その場から瞬間移動した。  あの子の心をテレパシーで読んでしまったが……。  先ほど、あの子はあの解体中のビルの屋上から身投げするつもりでいた。  あの子の死を決意した負の感情に引っ張られて、僕は無意識のうちにあそこに瞬間移動してしまったのだろう。 「でもね、悲しい顔をしたあの子の心だけが、あそこから落ちていったんだ。そして、あの子は18歳になったとき、何の制限も制約もなくなって思いっきり笑える自分に気づいて――」  さらば18禁で始まる僕らの物語が解禁されるのだ。 <終わり>
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