人生の解禁日

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 僕は昨日で18歳になった。それでいろいろな年齢制限、いわゆる18歳未満禁止(18禁)が解除され、何の制限も制約もない人生が解禁された。 「さぁて、と」  そんなわけで、18歳になった今から何をするかと言うと――まあ、言うまでもないと思うけど、異世界転生だよね! 「そんなワケあるか!」  いきなり何かでパシーンと頭を叩かれた。頭皮がヒリヒリ痛い。 「なんだよー、せっかく気持ちよく寝てたところなのに……」 「寝言だったの!?」  僕は目を開けると空を仰いで寝ていた自分に気づいた。そんな僕を叩くなんて一体誰だよと思いながら目をこすって起き上がると、そこにいたのは丸めた新聞紙(の剣)を持った女の子だった。 「ったく、やっと起きたわ」 「おはよう、姉ちゃん」 「はいはい、おはよう……じゃなくて、誰があんたの姉ちゃんよ。そうでもなくて、なんであんた、こんなところで寝てるのよ?」 「え? だって、ここ僕の部屋だし」 「はあ?」  女の子の目線は、僕らが今いる周囲に向けられた。僕も女の子の目の動きを追った。 「あれ?」  僕は首を傾げた。  そこは解体中のビルの屋上であった。床の一部分はコンクリートが取り剥がされ、鉄の骨組みが見えていた。 「僕、姉ちゃんの部屋にいたはずなのに、いつの間にか知らないビルの屋上にいるんだけど!?」 「いきなり現れないでよ。驚くでしょう」 「これは一体どういう会話なのかというと、説明しよう」  僕は18歳になったことで、いろいろな18禁が解除され、何の制限も制約もない人生が解禁されたことを自覚したら、自分の人生に――そのあまりにも無限の可能性を感じたことでチャクラが全開、宇宙の真理に触れてしまったようで、なんと超能力が開花してしまったのだった。 「……」  瞬間移動の他にも超能力と聞いてイメージできるものはひととおり身についていた。他人の心の声を聴くこともできるテレパシーという超能力も有名だね。当然、それも身についていたさ。 「……」  僕の姉ちゃんは僕のそのテレパシーで、好きな人が自分のことをどう思っているのか知りたがった。さっきまでその打ち合わせで、僕は姉ちゃんの部屋にいたんだけど、あまりにもくだらない恋話を聞かされていたら眠くなってしまい、僕は自分の部屋のベッドの上に瞬間移動したつもりが……。
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