好きと言えないまま

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高校生だった時、たまたま部活動の交流で、話すようになった。 私は女子校。 君は男子校。 そして、友人の()として、出会った。 話してみると、中学が2年間同じで。共通の話題も多かった。 でも、それだけ…。 部活動の休憩の時は、おしゃべりをした。 冬の寒い、雪の日は、電車の駅まで、送ってくれた。 「無理、しなくていいよ?」 「無理、じゃないし………。」 「だって、反対方向……。」 「由加にも頼まれてる…。」 「なーんだぁ、そっかー。」 「………。」 スタスタ、歩く私。 「おいっ?」 「石井に悪いなって、思ってたし……。少し、ホッとした……。」 スタスタ、追いかけてくる君……。 「………。」 高2の9月中旬。 家に、突然、電話が来た。この頃は、家電(いえでん)しか無かったから、親の様子を気にしながら、電話に出る。 「ごめん。都合悪いよ、な?」 「うん、まぁ…。」 両親を気にしながら、受話器を持つ私。 「俺、部活辞めると思う…。」 「………。わかった…。じゃ、切るね?」 「………。」 たった、それだけ……。 2、3日したら、また、家電が鳴った。 「あのさ。お前、そっちの生徒会、やる?」 「あっ、昨日、担任から“生徒会、やらないか?”って誘われた。」 「で、返事した?」 「まだ……。執行部って時間の制約ありそうだし……。」 「やらない?」 「なんで?」 「俺、役員に立候補するから……。」 「へっ?」 「だから、部活は辞めるけど、会えれば、面白いかなって。(かお)と。」 「石井、誘えば?」 「アイツとは会ってない……。それに、多分……、もう、振られた……。」 「またぁ?!」 「ホントに…。学校、行ってるか?」 「まあ、確かに、最近、学校に来てないけど…。クラス替え、あったから、実際は、分かんない…。」
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