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　まずはスープを一口。あっさりした中に深みを感じる塩味。鶏のだしは優しくも力強くどっしりしていて、総合してこのスープは頼もしい味わいや。鶏塩はダメな店で食うと、塩水かよってこともある。ここは完璧。鶏も塩も良さがしっかり引き立っとる。
　では麺を。そこに製麺機も見えとるし、自家製やな。ストレートの細麺。箸で底の方から引き上げて来て、軽く吹いたら一気に啜る。ここで上げたまま呑気に冷ましとると、絡んで来たスープが落ちてまう。火傷上等。
　これは小麦の味が控えめながらも失われていなくて、美味い麺だ。歯切れもちょうどよくぷつんと行くし、喉越しもつかえることなくするっと行く。茹で加減も完璧、と。
　具材はシンプル。刻んだ青ネギと鶏チャーシューとゆで卵。チャーシューを口に運ぶと、パサつきは全くなくてジューシー。柔らかくてしっとりしてる。味を付けすぎてなくて、スープの味を楽しめる。ゆで卵は味玉やないのがええ。味玉やとこの繊細なスープの味と喧嘩するからな。
　俺が一通りの最初の味見をしたタイミングで、向かいのイッセイが声をかけてきた。
｢どう？｣
｢美味いわ。この繊細なバランスが満点｣
｢だろ？｣