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ネットで1人でも2人でも配信すれば、それを見た同じ立場の人間は共感し、声を上げるだろう。
むろん、最初は、関係ない人からのツッコミや「頭オカシイんじゃねーの」などと言う誹謗中傷はあると思う、が、しかし、オレらは本当の未来人。
20年後からタイムスリップして来た人達。
これから20年の間に何が起こるかオレらは知っているのだ。
世間からも見る目が変わり特別視され、テレビ出演のオファーが殺到し、ファンなんかも、ついちゃったりして。
そんでもって、アイドルや女優さんとの共演もあったりして…
などとポジティブ路線に今の立場を方向転換していると
「ねぇ、ソロソロ教室、戻らないと。音楽鳴ってる」
関村がオレの腕を揺さぶった。
「もう時間か……関村サ、もし良かったらでいいんだけと、今日、一緒に帰んネ?」
今の所、唯一同じ立場の彼女ともっと共感しあいたいと思った。
「全然OKだよ。頼れる人、笠井君しかいないし…」
と、彼女はちょっと、はにかんだ。
オレ、少し、ドキッとしたが
「実はケータイ持ってないんだよね」
と言うと
「あたしも。買って貰ってない。親は持ってるけど」
彼女も残念そうに首を振った。
この頃はもう、ケータイ電話は普及はしていたが、中学生で持ってるヤツが何人いたか。
小学生でもスマホを持っている今ほどでは無かった時代だった。
「ウラの門で待ち合わせしよう。関村、部活、やってないよな」
オレはもう、「関村」と違和感無く呼び捨てにしていたが、彼女は気にしてない風だった。
「部活はやってないよ。うん、判った」
オシリの汚れをパッパッとはらい、オレらは足早に校舎へ入った。
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