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ツレんトコ行ってたと言えば良いのだが、そういう言い訳や説明を親にするということが、当時ウザく感じていた。
中学生時期って、そういうものである。
「明日になってたら、元の世界に戻ってることを祈るしかないな」
と言うと
「そうね。私も祈る」
彼女は可愛く拳を握った。
「今日、寝れるか?」
「判んないけど早く寝る…けど…」
「けど?」
「もし、朝になっても、戻ってなかったら…」
沈んだ表情の彼女に、オレは返事せず、無言で頷いた。
「もし戻ってなく、このままだったら…笠井君明日会えるかなぁ」
「明日?」
「うん。明日学校休みじゃん」
「休み…」
そうか、今日は金曜日。明日明後日、土日で休みだ。
そこまで頭が回ってなかった。
「全然イイよ。昼飯食って、オマエん家来るわ」
もう、関村と呼び捨てでも、オマエ呼ばわりでも、違和感なく
「うん判った。待ってる」
と、彼女も全然気にしてなかった。
「じゃーな」
オレは手を上げ、来た道をひきかえした。
「あしたね。バイバイ」
彼女はオレの背に、オレが見えなくなるまで手を振っていた。
オレが帰らないとと言った時に見せた、戸惑い、ちょっとはにかんだ表情。
あれは「もっと一緒に居たいんだけど」的な、そういう風にとらえた。
それは「明日会えるかな」と向こうから言って来たことでも判る。
願ってもないことではあるが、ホントはオレの方から言うべきだった。
なんか、ポ〜っとして、ほのぼの〜とした、気分である。
これが青春なのだ。
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