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「今日、ウチ、来ね?この間見せたアノ、エロ本サ、やるわ」 本間はイヤらし目つきだか、サラリと言った。 「マジか」 オレに少し笑いが出た。 今日始めてである。顔の筋肉が緩んだのは。 そうだ、エロ本の貸し借りもツレ同志でやっていたし、コイツの家にもよく遊びに行っていたのも懐かしい思い出である。 ただこの実年齢(35)で、エロ本もないもんだが。 オレが取り敢えず「判った」と返事をしようとした時、誰かが教室へ入ってきた。 皆、急いで自分の席へつく。 男は、担任の井川先生であった。 この頃の先生は50歳で、独身と言う話しだった。 コイツの、喋る間で「ツーッ」と息を吸うクセは懐かしく、久々聞いて吹き出しそうになった。 ホームルーム後の1時間目は数学で、長野先生(男性)は確かこの時で、31歳で35のオレよりも年下だ。 どう見てもオレよりは老けて見えるが、感覚的に、上から目線で見てしまう変な感じだった。 その長野先生の声だけが響いている室内を、オレは顔を余り動かさず、目だけキョロキョロと移動させ、物色した。 すると見える範囲の中の、ある1人の女生徒の動きが気になった。 1番廊下側の前から2番目の席。 関村マリカ。当時、話しなどした記憶は無い。 同じ小学校出身だが、組が一緒になったのは、この中三だけである。
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