10人が本棚に入れています
本棚に追加
「ごめんね〜? 10分くらい前に今日分完売しちゃったんだ〜」
「マジすか!?」
「……今日暑いですもんね」
「私たちもどれくらい仕入れ? すればいいのかわかんなくてさ。でもまさかこんなに早くなくなるとは思ってなかったんだよね〜」
ごめんね〜? と、また謝ってくれた先輩に当たってもしょうがない。最初に買いにこなかったオレ達が悪いんだ。
オレ達というか、腹が減ってチヂミの誘惑に負けたオレが悪いんだ。妹尾先輩は悪くない。
「明日分は別でちゃんと用意してるから、また明日来てね〜」
「……はぁい」
「失礼します」
少し頭を下げてから6組の教室から移動する。
あーあ……。宇部先輩になんて言おう。
「……そんなに食べたかった?」
「まぁ、それなりには」
それなりっていうか、かなり、だけど。
「明日の店番終わったらソッコー行きます!!」
「トッピング無料券、どうする?」
「あぁ……」
そうだ。無料券、1枚で2人まで使える。って宇部先輩は言ってたけど、一緒に買いに行かないといけないよな……。
「まあ別にトッピングなくてもいいです」
メインは、宇部先輩のクラスのアイス、だから。
「……そっか」
「次どこ行きます?」
いつまでも落ち込んでたって仕方ない。文化祭は明日もあるんだし、さっさと切り替える方が吉だ。多分。
「姉ヶ崎くん行きたい場所あれば、そこについて行くよ」
「う〜ん……」
行きたい場所なぁ……。チヂミじゃ腹は膨れないから、食堂でガッツリ何か食べたい気分。でもあと2時間くらいで1日目終わるから、もっと色んなクラスまわりたいし……。
「うわぁぁぁぁっ!!」
「キャーーーッ!!」
「あーーーっ」
めちゃくちゃ悲鳴聞こえてくんじゃん……。と思ったら、真っ黒な壁をしたクラスの前まできていた。
そっか、お化け屋敷あるんだった。朝から泣いてる人もいたような。
妹尾先輩も無理とか言ってなかったはずだし、行こう。って話した気がする……。
「じゃあ、お化け屋敷、行きましょうよ。今空いてますし」
「え」
あれ。妹尾先輩の顔がこわばった?
でも朝はダメ、とか無理、とは言ってなかったよな?
……もしかして。
「本当は苦手だったり?」
「いやっ、本格的なのが駄目なだけで……」
ちょっと目が泳いでる。これ、本当は苦手だな?
「大丈夫ですよ!! 行きましょ!!」
「お、お腹空いてるって言ってたし、チヂミ4切れじゃ足りないんじゃない? 他のクラスで何か食べるでも……」
「最後に学食行けばガッツリ食べられるんで問題無しです!!」
「えぇっ!?」
「並んでない今がチャンスですよ!!」
「〜〜〜っ!! 今日イチいい笑顔してるじゃん!!」
「そんな事ないですよ〜」
いや、多分そんな事ありますね!! 制汗剤の時と笑った覚えがあるけど、今は今でめちゃくちゃ笑ってる気がする!!
それに、半日妹尾先輩と一緒に行動してわかったけど、先輩はちょっと押しに弱い。だからお化け屋敷も押せばいける!!
最初のコメントを投稿しよう!