Boy Meets Boy

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「ごめんね〜? 10分くらい前に今日分完売しちゃったんだ〜」 「マジすか!?」 「……今日暑いですもんね」 「私たちもどれくらい仕入れ? すればいいのかわかんなくてさ。でもまさかこんなに早くなくなるとは思ってなかったんだよね〜」  ごめんね〜? と、また謝ってくれた先輩に当たってもしょうがない。最初に買いにこなかったオレ達が悪いんだ。  オレ達というか、腹が減ってチヂミの誘惑に負けたオレが悪いんだ。妹尾先輩は悪くない。 「明日分は別でちゃんと用意してるから、また明日来てね〜」 「……はぁい」 「失礼します」  少し頭を下げてから6組の教室から移動する。  あーあ……。宇部先輩になんて言おう。 「……そんなに食べたかった?」 「まぁ、それなりには」  それなりっていうか、かなり、だけど。 「明日の店番終わったらソッコー行きます!!」 「トッピング無料券、どうする?」 「あぁ……」  そうだ。無料券、1枚で2人まで使える。って宇部先輩は言ってたけど、一緒に買いに行かないといけないよな……。 「まあ別にトッピングなくてもいいです」  メインは、宇部先輩のクラスのアイス、だから。 「……そっか」 「次どこ行きます?」  いつまでも落ち込んでたって仕方ない。文化祭は明日もあるんだし、さっさと切り替える方が吉だ。多分。 「姉ヶ崎くん行きたい場所あれば、そこについて行くよ」 「う〜ん……」  行きたい場所なぁ……。チヂミじゃ腹は膨れないから、食堂でガッツリ何か食べたい気分。でもあと2時間くらいで1日目終わるから、もっと色んなクラスまわりたいし……。 「うわぁぁぁぁっ!!」 「キャーーーッ!!」 「あーーーっ」  めちゃくちゃ悲鳴聞こえてくんじゃん……。と思ったら、真っ黒な壁をしたクラスの前まできていた。  そっか、お化け屋敷あるんだった。朝から泣いてる人もいたような。  妹尾先輩も無理とか言ってなかったはずだし、行こう。って話した気がする……。 「じゃあ、お化け屋敷、行きましょうよ。今空いてますし」 「え」  あれ。妹尾先輩の顔がこわばった?  でも朝はダメ、とか無理、とは言ってなかったよな?  ……もしかして。 「本当は苦手だったり?」 「いやっ、本格的なのが駄目なだけで……」  ちょっと目が泳いでる。これ、本当は苦手だな? 「大丈夫ですよ!! 行きましょ!!」 「お、お腹空いてるって言ってたし、チヂミ4切れじゃ足りないんじゃない? 他のクラスで何か食べるでも……」 「最後に学食行けばガッツリ食べられるんで問題無しです!!」 「えぇっ!?」 「並んでない今がチャンスですよ!!」 「〜〜〜っ!! 今日イチいい笑顔してるじゃん!!」 「そんな事ないですよ〜」  いや、多分そんな事ありますね!! 制汗剤の時と笑った覚えがあるけど、今は今でめちゃくちゃ笑ってる気がする!!  それに、半日妹尾先輩と一緒に行動してわかったけど、先輩はちょっと押しに弱い。だからお化け屋敷も押せばいける!!  
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