Boy Meets Boy

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 妹尾先輩と適度に芸能、音楽科棟に身を隠しながら校舎内を見回る事3時間。最後に残る誘導の仕事をするために、体育館と校舎を繋ぐ渡り廊下1階に来ていた。  今、体育館では音楽科のオーケストラが演奏をしている。文化部の発表の一部で、学校の名物の1つらしい。  発表が終わって体育館から出てきた一般客を校舎に案内するのがオレ達最後の仕事だ。  2階の渡り廊下は誘導がなくても大丈夫だけど、1階は道を間違えると部室棟へと向かってしまう。それを防ぐ役割。って訳。  入口の誘導みたいにたくさんの一般客を相手にするから、また妹尾先輩が囲まれてしまうかもしれない……。  普通に人選ミス……。 「お面でも持ってくればよかったかな」 「ただの不審者じゃないですか。オレ嫌ですよ、お面被った人と見回りとか」 「家に、昔妹が祭りで買ってもらったヒーローのお面あるんだよね」 「……ちなみに、どのヒーローの誰ですか?」  聞くと、ちょうどオレも観ていたヒーローの、追加戦士ゴールドだった。良い趣味してるじゃないか妹さん!! 「明日はそれ被ればいいんじゃないですか?」 「アリっちゃアリ」 「アリなんですね」  本当に被ってきたら写真撮らせてもらおう。  普通にマスクとか変装用メガネとかでも、妹尾先輩ってわかんないと思うけど。芸能人オーラが溢れ出るんだろうか。 「それにしても暑くない?」 「え? そうですか?」 「え? 暑くない? 俺ちょっと我慢できないくらいになってきたんだけど……」  突然話が変わったと思えば、暑い?  確かにエアコンが効いてる校舎内ではないけど……。普通に外だけど……。  先輩を見ると、額にうっすら汗が滲んでいて、ワイシャツの襟を掴んでパタパタ扇いでいる。 「普段の……。夏休み中の体育館に比べれば全然暑くないです」 「つ、強い……」 「先輩が弱すぎるんじゃないですか?」  確か今日の最高気温は35度って朝のニュースで言ってた。38度超えが当たり前だった夏休みに比べれば全然暑くない。  猛暑日? 真夏日? の気温の中、エアコンのついてない体育館で何時間も練習してたから、35度……、ましてや風が吹く外なんてそこまで暑く感じない。 「えぇ〜? 俺は普通だと思うけど」  そうか?  ていうか、妹尾先輩長袖のシャツ着てるから暑いんじゃなくて? 袖まくってはいるけど、絶対半袖の方が涼しいって。 「半袖のシャツ着ればいいんじゃないんですか?」 「全部洗濯中で……」 「それはドンマイです」 「もう1回まくろうかな」  そう言って先輩が袖をもう1回まくっていると、体育館から拍手の音が漏れ聞こえてきた。  スマホで時間を確認すると12時37分。音楽科の発表が終わったみたいだ。これからお客さんが体育館から出てくるのか。  いつ出てくるのか構えていても、中々体育館の扉が開かない。  え、なにこれ。 「アンコールとかやってるんじゃない?」 「アンコール?」 「もう1曲やってくれるやつ」 「あぁ〜」  手拍子とかでやるあれか。  そしたらもう少し人は出てこないか……。 『ガララララララ……』  開いたな。 「違ったか」 「そうですね」  重い体育館の扉が開いて、しゃべりながらお客さんがぞろぞろと出てきた。  ちらほらと、暑っ!! って驚いてる声も聞こえてきた。え、暑い?
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