10人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
Boy Meets Boy
朝から蝉がうるさい9月最初の土曜。
いつもならとっくに練習をしてる時間に、バスケ部の部室にオレはいる。
今日はクラスに荷物を置けないので、部活に入っている生徒は自分達の部室に荷物を置け。と、昨日連絡があったからからだ。別に教室に置いててもいいけど盗られても学校は責任持てないからな。という脅し付きで。
「伊南沙〜、鍵閉めるぞ〜」
「はーい」
先輩の声に急かされて、とりあえず財布とスマホをケツポケットに突っ込んで部室を出る。
部室の外には先輩1人で、同級生と他の先輩は校舎に続く渡り廊下を歩いていた。
横でガチャっと音がして、部室のドアが閉まった音がした。これで基本的には夕方まで部室に入れない。
「お前、ケツに財布なんか入れて盗られても知らないからな」
「他にどうしろっていうんですか」
そう言ってちゃんと先輩を見ると、首から可愛いキャラクターの顔がぶら下がっている。テーマパークで売ってるアレ。キャラクターの顔がポーチみたいになっていて、金とか貴重品いれるやつだ。
有名らしい、そのテーマパークオリジナルキャラクターの小鳥の顔がオレを見てる。
「……オレにもその可愛いのを使えと?」
「もう1コあるから貸せるけど、どうする?」
「いや、いいです」
丁重にお断りして、オレと先輩も校舎に続く渡り廊下を歩く。
ただ、先に行った同級生達と目的地が違う。
「伊南沙のクラスは何やってんだっけ?」
「屋台ゲームっす。先輩は?」
「アイス売ってる」
すれ違う生徒はどこか浮き足立っていて、あちこちから盛り上がる声も聞こえてくる。
そう。今日は文化祭1日目だ。
最初のコメントを投稿しよう!