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大人なんてチョロい。
僕がそれに気付いたのは、五歳くらいの頃だったと思う。いや、それよりも前から、なんとなく気付いていた。大人は、求めてくるものが明確で、その通りの行動をするだけで簡単に喜ぶ。元気な声で挨拶しなさい。好き嫌いなく何でも食べなさい。お友達に優しく、困っている子がいたら助けてあげるんだよ。先生がお話ししている時は黙って。きちんと順番に並ぼうね。やろうと思えばすぐにでも出来ることをやらずに怒られているヤツはバカだ。周りはバカばっかりだった。
「おい、もっと速く歩けよ」
どんくさい尻を背後から靴の裏で押すと、タカヒロは小さな声でしゃくりあげた。僕は聞こえるように舌打ちする。
「泣いてんじゃねーよ、おめーが泣いてたらいじめてるとか勘違いされんだろ」
金曜日の下校時刻。
週末に持ち帰ることになっている上履きや体操服、それから今週は給食袋。ランドセル以外のそれら全てをタカヒロに持たせて、僕は悠々と歩いていた。高学年はクラブ活動があり、学童に行く子も多いせいで、通学路に児童はまばらだ。それも、大きな交差点で三方向に分かれ散っていく。交差点から坂道を上っていく道を行くのは、いつもタカヒロと僕だけだ。
家が比較的近いというだけで、一年生の頃からこのクソつらまないマヌケと毎日登下校を共にしている。おまけにクラスも一緒だ。いい加減ウンザリだが、まぁ、多少のメリットはある。
二人分の荷物を持ってノロノロと坂を登るタカヒロを見張るように、僕はすぐ後ろを歩く。さすがにランドセルまでは持たせない。通りかかった大人に見咎められる可能性があるからだ。
のろまなタカヒロに歩調を合わせると、思った以上にイラついた。
坂を登りきったところで、突然、タカヒロが荷物をバラバラと落としてしゃがみ込んだ。
「は?なに落としてんだよ」
丸まった背中を膝で蹴ると、タカヒロはそのまま地面に転がって泣いた。僕はまた舌打ちする。
「まぁいい。交代だ」
二人分の荷物を拾い上げ、僕は何事もなかったかのように歩き出した。タカヒロもヨロヨロと立ち上がり、慌てて後をついてくる。
坂道を登りきって、自転車屋の角を曲がると、タカヒロの家が見えてくる。案の定、家の前にタカヒロの母親が立っていた。僕らの姿を見つけると、小さく手を振ってくる。
「こんにちは!」
僕が明るく挨拶をすると、母親が何かに気付いたようにこちらへ歩いて来た。
「どうしたの?荷物。タカヒロ、膝、血が出てる」心配そうに駆け寄る。
「タカヒロくん、帰り道で転んじゃったんです。だから僕が荷物を持ってあげました」
母親の顔を見て、タカヒロは大きな声で泣き出した。うるせぇ。
「そう、ありがとうね、ユキトくん」
マヌケなヤツの親は、十中八九マヌケだ。
この過保護気味な母親は、タカヒロが小学二年生になったいうのにいまだに毎日、下校時刻になると家の前で帰りを待っている。心配だけは一丁前にするが、実状に気付けない。僕のことを、のんびりやの我が子を気にかけてくれる唯一の友達だと信じて疑わない。
「今日も僕のお母さん遅いんで、このままタカヒロくんちで遊んでもいいですか?」
僕がわざと甘えたような声を出すと、タカヒロの母親はすぐに笑顔を見せた。
「いいよ。一人でお留守番は寂しいもんね。お母さんが帰ってくるまでうちで遊んだら」
玄関を開け、タカヒロと僕を中へ招き入れる。
タカヒロが怯えたような顔でこちらを見たが、僕は構わず玄関先で靴を脱いで、きちんと踵を揃えた。
「お邪魔します。タカヒロくん、先に宿題やろう」
タカヒロが居間で母親に擦りむいた膝の手当てをしてもらっている間に、洗面所を借りて、手を洗う。
一戸建ての狭小住宅。十年ほど前、この地域の地主が一気に土地を手放し、そこに所狭しと新築物件がザクザク建てられた。タカヒロの家はそのうちの一軒だ。
隣家と外壁が触れそうなほど隣接しているため、室内は昼間でも電灯が点けられている。申し訳程度の庭に面した窓を見遣ると、家々の隙間から太陽が小さく覗いていた。
膝に大きな絆創膏を貼られ、タカヒロがランドセルを手に持ってやってくる。さっきまで泣いていたせいで頬が赤らんでいる。
「これ二人で食べてね」
母親が安っぽいスナック菓子を袋ごと僕に渡してきた。
「わぁ、おいしそう。いつもありがとうございます。いただきます」
しけてんな、と心の中で悪態を吐きながら、僕はにっこりと笑う。純粋無垢な笑顔を作るのなんてお手のものだ。
しぶるタカヒロを促し、二階のタカヒロの部屋へ向かう。六畳ほどの広さに、量販店でよく見るような勉強机とベッド。地味なベージュ色のカーペットは母親の趣味だろうか。
部屋に入って扉を閉めたところで、僕はタカヒロの尻を蹴った。
「グズグズしてんじゃねーよ」
「痛い、何するの」
階下に母親がいることで気が大きくなったのか、珍しくタカヒロが不満そうに口答えしてきた。
「は?てめ、なんつった?」
後頭部を掴み、思い切りベッドにタカヒロの頭を引き倒す。頭を押さえつけたまま背中に膝を乗せ体重をかけた。タカヒロはジタバタと手足を動かし暴れたが、細い腕と脚は空中を掻き回すだけだった。
言葉にならないうめき声が漏れたところで、僕はタカヒロを解放してやった。涙が目にいっぱい溜まっている。
「弱っちぃくせにナメた口きいてんなよ、バカが」
僕はさっさとサイドテーブルにノートとドリルを広げ、宿題に取りかかる。タカヒロもようやくベッドから体を起こし、勉強机に向かった。
今日習ったばかりの漢字を、ノートに何個も書き綴る。勉強を難しいと思ったことはない。ただ面倒なだけだ。
退屈な九九のプリントも終わらせ、僕は一人でスナック菓子を平らげた。タカヒロはまだ机に向かって鉛筆を動かしている。
遊ぶ前にきちんと宿題を終わらせる。それは大人の信用を得るために必要なこと。普段の行いは直接、信頼とつながっている。その表面的な信頼を取り付けさえすれば、僕はまるで透明人間になったかのように自由だ。
タカヒロの部屋に来る最大のメリットは、最新のゲーム機があるということだ。僕の家には、ゲーム機がない。母親のスマートフォンにインストールしたゲームアプリが、僕の家での唯一の楽しみだが、それも時間は三十分だけと決められている。思う存分ゲームができるのはタカヒロの家でだけだ。
ベッド脇で充電されていたゲーム機を持ち出し、電源を入れる。昨日僕がセーブしたデータがそのまま残っていた。タカヒロはあまりゲームに執心しない。宝の持ち腐れだ。
ヘッドホンを着け、ゲームの世界へ没入する。カチャカチャと指先でコントローラーを弾く軽い感触が心地良い。だがその心地良さも、すぐにイラつく気持ちに乗っ取られた。
「バカが。頭悪すぎだろ」
オンラインで集まった見知らぬプレイヤーとチームを組むと、必ず稚拙な動きをするヤツが出てくる。そいつのせいで点が及ばず、僕のチームが負けてしまったのだ。もう一度対戦チームの抽選をすると、さっきヘマしたヤツがまた同じチームに入ってきた。
「ざけんな」
僕は思わずゲーム機を投げつけそうになった。
この世で一番腹が立つことは、頭の悪いヤツのせいで不利益を被ることだ。こちらがどんなにうまく立ち回っても、致命的なバカが足を引っ張る。イライラした気持ちのまま、二回戦を終える。途中から僕が勝負を放棄したこともあり、当然、チームは敗北した。
ゲーム機をベッドへ投げだし、乱暴な仕草でヘッドホンを取る。怒りにまかせ、タカヒロの座る椅子を蹴りつけると、黙ったままタカヒロがこちらを振り向いた。不審そうな目が余計に僕を苛立たせる。
僕は立ち上がって、タカヒロの机の引き出しを開ける。そこに、ポチ袋に入れられたお年玉が、まだ使われないまま入っているのを知っていた。それを掴み、ズボンのポケットに突っ込んだ。
「え、ちょっと」
「お正月から半年も経つのに使ってないお前が悪い」
「でも」
タカヒロは弱々しく眉根を下げる。
「でも、何?文句あんの」
僕が好戦的な顔を見せると、途端にタカヒロは口をつぐんだ。
時計を見ると、四時半を指していた。少し早いが、頃合いだろう。
僕はランドセルを背負って、タカヒロの部屋を出た。階段を下り、居間に顔を見せる。
「お邪魔しましたぁ」
キッチンに立って夕食の支度をしていたタカヒロの母親がエプロンで手を拭きながらこちらへやってきて、
「また来てね」と笑う。玄関まで見送られ、僕はタカヒロの家をあとにした。
公園の前の道を通り抜け、僕は自分の家に向かった。公園では男の子たちが、鬼ごっこをしているのか笑いながら走り回っていた。女の子たちはブランコに座って、おしゃべりに熱中している。
五時過ぎに、母が仕事から帰ってくる。それまでには家に着かなければならない。僕は学校から真っ直ぐ家に帰って留守番をしていることになっているのだから。
ランドセルのサイドポケットから鍵を取り出し、ドアを開ける。しんと静まる玄関に体を滑り込ませた。まだ、母は帰ってきていない。ほっと息をついた。
リビングの隅にある棚の上にランドセルを置いて、本棚から学習図鑑を手に取る。ソファに座ってそれを開いた。サメの捕食についての説明をぼんやりと眺めていると、玄関でガチャリと鍵の開く音がし、ドアが開閉された。
「おかえり」
リビングに入ってきた母に声を掛けたが、母はこちらをチラリと見ただけだった。今日は一段と疲れた様子だ。こういう時はあまり関わらない方がいい。仕事で何があったか知らないが、八つ当たりされてはたまったもんじゃない。自分の部屋があれば、逃げ場になるのに、と僕は思う。
僕の家は、たぶん、普通より金持ちだ。家の広さはタカヒロの家の倍はあるし、車だって大きい。オーダーメイドで設えた家具が置かれたリビングと、十分に広いキッチンはいつもキレイに片付けられていた。
時々、父が部下を呼び、リビングで酒盛りをする。そのことに母が怒りを覚えているのを僕は知っていた。元来、整理整頓が不得手な母は、本当なら小まめな掃除など大嫌いだろう。ただ、父の手前、いや、訪れる客人のため、自らの見栄のため、小綺麗な家を保っている。母にとってそのストレスは相当なものらしい。
母のそのストレスは、家の二階の部屋に表れている。
二階には部屋が四部屋あるが、中学生の兄の部屋と、寝室を除く二部屋は足の踏み場もない有様なのだ。ありとあらゆる荷物が詰め込まれている。もう使っていない電気ポットや、兄が小学生の頃に使っていた教科書やノート、テストなどが乱雑に投げ入れられた棚。引っ越しから開けていないと思われる段ボールの山。最後にいつ使ったのかわからない客用の布団。季節外れの衣類など、とりあえず空いたスペースに適当に積んでいって、混沌とした部屋が出来上がっていったのだろう。客人が二階へあがることはないので、母は涼しい顔で体裁を保っている。
部屋が片付くのが先か、兄が家を出るのが先か、僕が一人部屋を持つのはいつのことになるのだろう。
「お母さん、宿題終わってるから、スマホ貸してほしいな」
キッチンに立っていた母は露骨に嫌な顔をした。
「ユキトはほんと、ゲームばっかだね」
「でも、時間はちゃんと守ってるよ。晩ご飯まで時間あるし、授業の予習復習も終わって暇だから」
母は少し考えた後、渋々、バッグから取り出したスマホを僕に渡した。
「お兄ちゃんはゲームなんかやりたがらなかったけどね」
有名中学へ進学した兄を引き合いに出され、胸の奥が一瞬カッと熱くなる。僕はそれが顔に出ないように堪えた。
「ありがと」
スマホを受け取って、ソファに座り直した。
消音設定になっているか確認したあと、ゲームアプリを開く。新しいイベントが開催されていたが、今回もスルーだ。十分なプレイ時間を取れない僕がランキング報酬に手が届くはずもない。時間の無駄だ。限られた時間の中でやれることは、通常クエストと、あとはガチャ。まずは一日一回、無料で引けるガチャをタップする。ゴミみたいなカードが出た。
僕は横目でチラリと、キッチンにいる母を見た。母は不機嫌そうに野菜を切り刻んでいる。
素早くスマホに目を戻し、課金画面を開いた。暗記しているパスワードを入力する。そして、課金した一万円分のゲーム内通貨を使って、十連ガチャを連続して引いていく。数枚のレアカードをゲットできたが、大抵はゴミになった。通貨を使い切るのに三分とかからなかった。
今月の課金額はこれで二万円になったが、母がそれに気付くことはない。今までバレたことは一度もない。母のクレジットカードの明細が毎月、封を切られることもなくゴミ箱に捨てられているのを僕は知っている。
次の月曜日、中休みに校庭へ遊びに出ようとしたところで、担任の教師に呼び止められた。
「ユキトさん、ちょっとお話があるのだけど、いいかな?」
三十代前半の女教師は、顔に笑顔を貼り付けて機嫌を取るように僕の顔を覗き込んだ。地味な白いブラウスの肩辺りに、赤いチョークの粉が付いている。
教壇に立っている時にはわからないが、近くで見ると肌がカサついて年齢よりも老けて見えた。
「はい」
僕は素直に返事をする。先生がホッとしたように息をついた。
先生の後について、校長室の隣の応接室に通される。
立派な黒い革張りの椅子が、ローテーブルの周りに整然と並んでいる。僕に座るよう促したあと、先生も正面の椅子に腰掛けた。
僕がじっと先生の顔を見つめると、先生は困ったような顔で見返してきた。
「それが、本当かどうかわからないんだけど」と口を開く。
「タカヒロさん、お友達でしょう?先週、下校中に、ユキトさんがタカヒロさんの背中を蹴っているのを見たって言う子がいて」先生は途中で僕から目を逸らせ、言いにくそうに言葉を続けた。誰かに見られてた。心の中で舌打ちして、でも僕は落ち着いて、先生の顔を見つめる。
「君たち、いつも一緒に登下校してるし、とっても仲良しに見えるから何かの間違いだと思うんだけど、一応確認しておかなきゃいけなくて」先生は頬に手を当てて首を傾げる。
「たぶん見間違えだと思います。先週、タカヒロくんが道で転んでしまって、僕が助け起こしてあげたんですけど、それがなんでかわからないけど蹴ってるように見えたのかな」
僕がハッキリとそう答えると、先生は正解を見つけたと言わんばかりに笑顔になった。
「そうよね!そうだと思ったの。だってユキトさんがそんなことするわけないもんね」
僕は心の中で舌を出した。チョロ。
「ごめんね、変な話をして。時間、あと少しだけど外で遊んでいらっしゃい」
「はい、失礼します」
僕は外履きに履き替えて、校庭へ出た。休み時間は校庭へ出て、元気に体を動かして遊ぶ。授業中は適度に発言し、給食も残さず食べる。成績も良く、遅刻や忘れ物もしない。それだけで、教師の僕に対する印象は抜群に良い。そんな僕がお友達を蹴る?あり得ない。
あの教師は問題事が嫌いだ。ましてや自分の受け持つクラスでイジメだなんて、できれば認めたくないのだろう。消極的で、表面上の平穏を好む、バカな大人。本質から目を逸らせたまま定年を迎えればいい。僕にしてみれば好都合でしかないのだけど。
下校時刻になって、いつものようにタカヒロの姿を探したけど、どこに行ったのか見つけられなかった。
「ノロノロしやがって」誰にも聞こえないように小さな声で呟く。
一応、トイレも覗いてみたけれど、どこにもいない。まぁ、いいや。グズは置いていこう。
坂道を上って、自転車屋の角を曲がる。見えてきたタカヒロの家の前に、やっぱり母親の姿があった。
「こんにちは!タカヒロくんに先に帰って家で待っててって言われたんで、お邪魔してもいいですか?」
僕は用意しておいた嘘をついた。
タカヒロの母は疑う様子もなく、玄関を開ける。
「お邪魔します!」
洗面所で手を洗って、タカヒロの部屋へ向かう。階段を上りながら後ろを振り向くと、タカヒロの母親が後についてきていた。不審に思いながらもタカヒロの部屋のドアを開けると、母親も一緒に入ってきて扉を閉めた。
「あの、僕一人で待てるので大丈夫ですよ。タカヒロくんもすぐ帰ってくると思うし」
さっさと宿題を終わらせて、ゲームをやりたい。今日はあのヘタクソがいなければいいけど。
タカヒロの母親は僕の言葉が聞こえないかのように、少し微笑んで僕を見ている。いつもと違う様子がして、僕は少しだけ警戒した。
部屋を見渡すように首を巡らせて、タカヒロの母が口を開いた。
「この部屋ね、タカヒロが赤ちゃんの頃から使ってるの。日本ではまだ珍しいかもしれないけど、欧米では赤ん坊の頃から一人で寝かせるのが習慣でね。うちもそれに倣おうと思って」
「へぇ、そうなんですね」適当な相槌をうちながら、僕は意外に思った。あの甘えん坊のタカヒロが赤ちゃんの頃から一人部屋で寝ているだなんて。
「でも赤ん坊を一人きりにさせるのって、やっぱり心配でしょ。だからね、カメラをつけてるのよね」
「え?」
思いがけない言葉に、僕はタカヒロの母の顔を見上げた。目が合ったタカヒロの母親は、相変わらず少し微笑んでいる。その様子が奇妙に不気味に思えて、一瞬、背筋が寒くなる。
「そのカメラ、今もこの部屋を撮影してるの。データはパソコンに転送されることになっているんだよ」
心臓がドクドクと音を立て始める。耳の奥がじんと痛くなった。
「さぁ、どうしようね。あなたのお母さんも先生も、全然頼りにならないけど、でも真実を知るべきだよね」
その、光を宿さない二つの黒目がじっと僕を絡めるように見つめてきて、僕は足元から震えた。
慌ててタカヒロの部屋を出て、階段を駆け下りる。揃えて脱いでおいた靴を履いて、外へ出た。
心臓が痛いほど鳴っている。足が空回りそうになりながら、僕は走った。
大丈夫。なんとかなる。まだ誤魔化せる。あの家には行ったことがないって言えばいい。映像だって、作り物だって言えばいい。そもそもカメラなんて嘘かもしれない。
息が切れて苦しかったが、走ることをやめられなかった。
大丈夫。僕はいい子だ。信頼がある。今まで、取り繕うため、そのために努力を続けてきた。みんな僕を信じる。
だって、大人なんて、チョロい。
(了)
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