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そう、私が見ていた紫のもやもやは、誰かの“悪意や欲望”であり。その中に浮かぶ顔は、それを向けている誰かしらの顔なのだった。死んだ人間に憑りつかれていたわけではなく、生きた人間の念に憑りつかれていたと言った方が良いかもしれない。
先生が死んだという話は聴かないので、多分ストーカーが逮捕されるなりなんなりして事態は解決したのだろう。このモヤモヤは本当にやばいのでは、と思うようになったのは私が中学生になってからのことだ。
『うっけるー!今時さあ、中学生だってもっと自由奔放に生きていいわけ!』
同じクラスに、問題児がいた。ただ金髪に染めているギャルというだけではない。授業中に騒ぐし、中学生なのにこっそり煙草を吸っているようだし、お酒も飲むし、なんなら夜遊びも激しい。
何より気持ち悪いと思ったのは、大量にセフレがいることを公言してやまず、ついでにその時の卑猥な話を教室で堂々と友達に話すことだった。
『セックスは大人になってからってさあ、そんなの何で制限されないといけないのって話。夜の何時になったら外で遊んじゃいけないとか、酒だの煙草だのとか。そんなにカラダに悪いもんだっつーならさ、あんたらも飲んでんじゃねーってかんじ?』
『確かにねー』
『大人って、自分達のこと棚上げして適当なこと言うもんね』
『そうそう。大人が“自分達はやってるくせに子供にはダメ”っていうことは大抵、そのカイカンを子供に教えたくなくて独り占めしてるってやつなのよ。だからさ、あたしはあんな奴らに従ってやらないの。タバコもサケも、なんなら公園でのセーカンも?ぎゃはははは』
『こ、公園でも?』
『うん。最近できたセフレがさあ、そういうのが大好きなタイプだったの。人がいつ来るかもわからない夜の公園でこういうことやるのコーフンしない?って言われたらあたしも燃え上がってきちゃった。お尻が砂と泥で汚れたことに関してはちょっとびみょーだけど……外でヤッたらさ、地面に落ちたアレかソレとか掃除しなくて便利じゃねってちょっと思ったー。シーツ洗うのマジめんどいし、大抵シーツだけじゃすまねーじゃん?』
『そ、それはやったことないから知らないけど……』
『まあ、彼氏と彼女でベッタベタのおもらしすると思えばいいのよ。あははははっ!』
まあ、こんな感じである。これはその時の会話の抜粋だが、本当はこんなレベルにぼかした内容ではなかったと言っておく。もっと露骨に性器の名前とか、セックスのプレイの内容だとかを口にしていて、多感な時期の私はものすごく嫌な気分になったのだった。
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