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「・・・2人でこの金額ってヤバイね。
しかもお酒も飲んでないのに。」
お会計の所で派遣さんが驚きながらカードを出している。
それにお辞儀をしてから笑った。
「ご馳走さまで~す!!」
「最初からカルビ1本で攻めればよかった。」
「今さらそんなことを言っても後の祭りですからね!」
私がそう言うと、派遣さんが面白そうに笑った。
「そうだよね、後の祭りだよね。
攻めるならガンガン攻めないとね。」
そんなことを言ったかと思ったら・・・
お会計の所で貰っていた飴玉を1つ、私に差し出してきた。
反射的に受け取ろうと右手の手の平を出すと・・・
私の手の平に飴玉を乗せてきて・・・
そして、そのまま・・・
私の指先に優しく触れ・・・
飴玉を入れたまま、私の手を握り拳にしてきた・・・。
そんな私の握り拳を派遣さんが上からギュッと握る・・・。
苦手だった・・・。
私はこういう風なことをされるのがとにかく苦手で・・・。
嫌だった・・・。
嫌だった・・・。
入ってしまうから・・・。
そして取られてしまうから・・・。
恋なんて、したくない。
私は恋なんてしたくない。
恋なんてしたくないのに・・・
甘いはずの小さな飴玉を握り締めたその拳は・・・
少し長い時間、この人に握られたままだった・・・。
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