511人が本棚に入れています
本棚に追加
「矢田さん・・・これから、面接後の打ち合わせなのでは・・・?」
矢田さんの胸の所、そこを握り拳にした両手でグッと押す・・・。
それに一切動くことのない矢田さんの身体を感じ、何だか泣きたくなった・・・。
居酒屋を出てからすぐ、私の腕をいきなり掴んだかと思ったら・・・
メイン通りではなく細い通りの所に引いていかれ、少し怒った顔で私にグッと近付いてきた。
「俺、“ご飯行きませんか?”って言われたから来たんだけど。」
「・・・“2人で”とは、言ってませんけどね。」
そう言って微笑むと、矢田さんが凄く凄く・・・めちゃくちゃ怒った様子になった。
それにはビックリして・・・。
この人は動きに変化のない人で。
絶対に動きに見せない人で。
それなのに、こんなに全身から“怒り”の動きを見せている。
それにビックリしながらこの人を見上げると・・・
私を、見下ろしている・・・。
燃えるような闘志の瞳ではなく・・・
苦しいくらいの、恋している瞳で・・・。
そんな・・・
そんな・・・
私の苦手な瞳で私を見詰めてくる・・・。
最初のコメントを投稿しよう!