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目の前にある牛丼・・・。 つゆだくの牛丼・・・。 それも、大盛り・・・。 それを五感全てで見て、感じて・・・ 食べた・・・ 食べた・・・ 食べて・・・ 「美味し~い!!! この前のテイクアウトも美味しかったですけど、やっぱりお店で食べるともっと美味し~い!!!」 「それあるよね!!」 隣に座った矢田さんが大きく頷きながら牛丼を食べていく。 「これから家でも夜ご飯食べるのに、急に牛丼とか言わないでくださいよ!!」 「あれは狙ったつもりはなかったけどね! ここよく来るの?俺たまに来てるよ。」 「来てませんよ。 牛丼屋に1人で入れませんし、女友達は入ってくれませんし、男友達という男友達も特にいないので。」 「そうなんだ? じゃあ、たまに俺が一緒に食べに来るよ。 男友達じゃなくて彼氏候補ってことでよろしく!」 そんなことを言ってきたかと思ったら・・・ 「俺の家の最寄り駅前に安くて美味しい焼き肉あるよね、知ってる?」 「知ってます!! いっっっつも並んでる所!!」 「あそこ“社長”のパーティーの一員の店だから、予約取れるから今度行ってみる?」 そんな・・・ そんな・・・ 魅力的でしかないことを言ってきて・・・。 それには笑いながら頷いてしまった。 「“社長”って、うちの会社の“社長”ですか?」 「いや、俺の派遣元の会社の“社長”。」 「派遣元の“社長”と仲良しなんですか?」 「俺だけじゃなくて全社員が“社長”と仲良しだよ。」 矢田さんがそう言って、凄く嬉しそうな顔で笑っていた。
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