36人が本棚に入れています
本棚に追加
父の後妻である継母とその連れ子の姉たちがどんなひどい悪口を言っても、気の遠くなるくらいにたくさんの雑用を言いつけても、エラは気にしない。
窓から吹き込んで来た風に魅惑的にたゆたう黄金色の髪を上下に振って頷き、遠くまで澄んだ青空のような曇りなき瞳をして、いいわ、すぐやるわ、と凛とした声で答えるんだ。
そして綺麗な歌を口ずさみながら屋敷の窓という窓、扉という扉、床という床、階段の手すりを、まるで恋人の肌を触るかのようにそれは愛おしそうに磨きはじめる。
エラが磨いた後のそれらはまるで魔法をかけられたみたいにぴかぴかと輝く。僕はそれを見ているのがとても好きだ。エラの額に光る汗すらもこの世で一番美しいとさえ思う。
最初のコメントを投稿しよう!