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「希菜ちゃん。ちょっとちょっと」
昼休み、一番目グループのみなみちゃんから可愛く手招きされたので、付いて行くと、人通りの少ない階段下へ連れて行かれた。
みなみちゃんは可愛くていい匂いがした。今日も髪の毛は水分多めのサラサラだし、耳元で揺れる金色の熊のピアスもラブリーでとても似合っていた。
しばらく見惚れていると「希菜ちゃん、もりりんとエッチしてないの?」と、その可愛い小ぶりな口から発せられたとは思えない、どストレートな内容に、私は思わず間を開け「え?」と驚きの声をこぼした。
もりりんとは勿論、森君のこと。
「実はもりりんから相談されてしまいましたっ」
みなみちゃんはペコリと頭を下げ、胸元でごめんなさいの手の形を作りながら私を見た。彼女の制服の皺やボタンまで可愛くみえてくるから不思議だ。
私でこんなふうに思うのだから、男子だったらみんな惚れちゃうレベルなんだろう。
もっと、彼女と仲良くなりたい。
「相談⁈」
「そー、もりりんから、希菜ちゃんが純粋過ぎるってぇ」
「え⁈」
「チューしただけで固まるしぃ、俺とそういうことするの嫌そうって言ってたよっ?」
「………」
「希菜ちゃんって、もしかして処女?とかかな?」
「……え!!あ…うん」
そうです。
「希菜ちゃん困ってるー?かわいー」
なんだか状況が掴めないけれど、恥ずかしくて顔がすごく熱くなってきた。
「もりりんと、したくないの?」
「……。うーん、したくないことはないんだけど。実際怖いし。そういうのはなんというか、特別な日にしたいというか……」
「あはっ。そうかそうかーっ。やっぱり希菜ちゃん純粋で可愛いね」
可愛い?みなみちゃんのほうが可愛いけど。私のこと純粋だって思うってことは、みなみちゃんはもう先輩とエッチしまくってるってことなのかな。
もう一度、彼女の胸元に目をやると華奢なのにそこだけボリュームがあって驚いた。
「じゃあその事、もりりんに言ってあげて?」
「え?その事って、特別な日にってこと?」
「そうそうっ。喜ぶよー?きっと!」
「……。ん、わかった」
森君も私の事で悩んでくれてだんだなって思うと、少し安心した。森君の外見はわりとタイプだけれど、彼とはいまいち話が合わないし、なんだか私、彼女としてちゃんと好かれてないような気がしていたから。
今日LINEして、森君のしたい行為の事も真剣に考えようと思った。
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