恐竜に乗れた日

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 家に帰るとカレーができていた。  頑張って作ってくれたことはわかっているのに、シンクやキッチンが野菜の皮や洗い物でぐちゃぐちゃになっている事に神経がいき、片付けながら作ってほしいと文句を言ってしまった。  私の反応に、仁志は「じゃあ食うなや」と言って私を睨んでからテーブルの椅子の脚を蹴った。  結局私は何も口にせずに部屋へ向かった。 電気も点けずに、ぼんやりと冷たいフローリングの上に座り込んだ。  森君からの、無事家着きました。という、いつもの連絡を待つけれど1時間経っても来なかった。    仕方なく私から〝着いた?〟とメッセージを送ってみる。  15分くらいで返事は来たけれど、〝着いた〟  と短い一言だけだった。  悔しくて涙が込み上げてきた。  こんな未来が待っているなら、我慢してでも、身体を捧げるべきだったのかもしれない。  もう一度、二時間前に戻ってやり直したい。  そう思いながら、付き合ったばかりの森君とのLINEのやり取りを遡って見ていた。  気が付くと眠っていて、空腹で目が覚めた。    仕方なく、仁志が作ってくれたカレーを食べた。思っていたよりも全然美味しかった。お母さんの味に似ていたけれど、少し焦げの味が混ざっていた。
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