恐竜に乗れた日

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 トイレを済ませ、壁の掲示物を真剣に見ているふりをしていると、廊下の端っこからこちらへ歩いてきているゴミげんの姿を見つけた。この間、朝会った眼鏡君と一緒にいる。  近付いてくるに連れ、ゴミげんの声がクリアに聞こえてくる。眼鏡君の声は、まったく聞こえないのに。  身振り手振りも大きなゴミげんと、後ろで手を組みながら、歩く以外の動作を全て捨てたみたいにほとんど動きの変わらない眼鏡君。でも、楽しそう喋っているのがわかるから不思議だ。体が小さく厚みもない眼鏡君は、隣のゴミげんの笑い声に吹き飛ばされるんじゃないかと心配になってくる。掲示板に貼り付けられた目の大きなカエルのイラストが豪快に口を開けて笑っている。まるで、ゴミげんみたいだと思った。このカエルをこんなにじっくり見つめる日が来るなんて思いもしなかった。  ゴミげんはおしゃべりに夢中なのか私に気付かずに側を通り過ぎていく。どことなく、彼らの背中を見送っているとゴミげんが急に振り返ってズカズカとこちらへ戻ってきたので、逃げようか迷った。    
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