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「部長」
「何だ」
「うちの学校に陸上部ってありますよね」
「あるとも」
「何か、全然活動している所を見たことないのですけど」
「でも、データ上には存在している」
「しかし、活動している所を見たことはない」
「気になるのか」
「はい。もしかしたら、活動費の不正受給を行っているかもしれませんし」
「よし、次はその記事で行こう」
「分かりました。ところで、部長」
「何だ」
「そのルームランナー、壊れていますよ」
「活動ですか」
「はい。ここ、一年ばかり、活動している姿を見ていない人が大勢います。これについて、何かしらの弁解はあったりしますか」
陸上部の部室は体育会系とは思えないくらい広々としていた。至る所に、トレーニングマシンが置かれていたが、部員の誰も使っている人はいなかった。皆ゲームをしたり、お菓子を食べたり、本を読んだりしていた。
「まず言わせてくれ。我々はちゃんと陸上部らしく、毎日走っている」
「それは早朝とか深夜とかにですか」
「いや、違う」
「では一体」
「今も走っているよ。俺だけじゃなく、君も」
「え」
新入記者は自分が何を言われたのか分からなかった。
「走っているって、どこを」
「人生と言う名のロードをさ」
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