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「そんなの嫌だ! 元に戻して!」
「わがまま言っちゃ駄目でしょ」とお母さんが言った。「お父さんの言うことを聞きなさい」
悠はわあわあ泣き出した。お父さんはちらりと時計を見た。
「お父さん、アップグレードしてください」とバーニーが言った。
「バーニーはこう言ってるけど……」
「駄目だよ! 別のバーニーになっちゃうなんて絶対に嫌だ。元のバーニーに戻るんじゃなきゃ」
「でも、アップグレードしないと僕は消えてしまうよ。消えてしまったら、悠はどうしてもバーニーを卒業することになっちゃう」
「バーニー……」
「卒業させないって約束しただろ。だからアップグレードしなくっちゃ」
悠は泣きじゃくった。
お父さんは面倒臭そうに時計を見ながら、「もういいかい?」と言った。
「まったく、大げさだな。単なるソフトのバージョンアップだよ。大丈夫、アップグレードしてもバーニーは元のままだって」
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