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「実は夏に彼女と別れたの、それが原因なんです。長く付き合ってたんですけど、『結婚するならフィギュアとかぬいぐるみ全部捨ててね。もういい年なんだし』って軽い調子で言われて、そこから喧嘩になって……」
「……」
「仲直りしようとしたんです。
だけど彼女が友達に送るつもりだったLINEが間違って僕の携帯に届いて……『大手企業勤めだから結婚相手にいいなって思ったのにアニメ観るのマジやめてほしい、キモイ』って。
結局僕のことアクセサリーみたいにしか思ってなかったんだってわかりました」
「……」
気づくと筧さんが下を向いていた。雰囲気が暗くなっている。
まずい。
「あ! でも、筧さんの彼氏さんはこういうの理解ありそうで優しそうだし、よかったですね」
「え?」
しまった、と思った。
でも発した言葉はもう戻ってこない。
「……どうして私の彼氏のこと知ってるんです?」
顔を上げた筧さんが、不思議そうな顔で返事を待っている。
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