特別な時間

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朝。 仕事に向かう。 水色の空は澄み渡り、 雲の形は絵筆ですうっと線を描いているよう。 空気は少し冷んやりとしていて、 歩くたびに見えないベールが肌に触れる。 その感覚が心地よい。 昼。 屋上。 綺麗な青空が広がっている。 雲の白さが際立って見える。 太陽が真上にのぼり、地上の全てを照らしている。 着ていたカーディガンが暑くなってきて、 脱ぐ前に右手に持ったミネラルウォーターを一口飲んだ。 「ふぅ」 一息ついたらまた仕事。 夕方。 近くの焼き鳥店から香ばしいにおいが漂ってくる。 大きく息を吸うのは、朝とこの時間だけ。 夕方の楽しみ。 仕事帰りで疲れていても、 このにおいをかぐとついつい店に立ち寄ってしまう。 店のむわっとした空気は暑苦しいけれど、 表面がパリッと焼けた焼き鳥とビールが待っていると思うと、全く気にならない。 今日の自分に、 「おつかれさん」 夜。 家までの帰り道。 顔を上げればそこに月が見えた。 夜の空気はなんだか生暖かいような、 冷えているはずなのに冷えていない、 よくわからない感覚。 視界も体感温度も曖昧だ。 だからこそ明るい月は、 本当に綺麗だと思えるのかもしれない。 何気ない日常の中にある、 特別な一日。 特別な時間。
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