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プロローグ
刻限は来た。
100年前の「鍵の盟約」より、我ら「人」は、「天使」との長き戦いから解放されたはずだったのだ。彼らから「悪意」は取り上げられ、攻撃の意思を失ったことで、望まれた休戦は遂に訪れた。
だが、5年前。天使は盟約を破棄した。人の領域への攻撃、征服、支配が行われるようになった。
盟約により、天使の領域は閉ざされており、一方的な蹂躙を可能にした。
氷雪に閉ざされた大地。獣達が天使に従えられた共和国。霊馬の荒ぶる草原。人まで機械と化す都市。永遠に奪われる都。雷鳴響く摩天楼。天使を王とした王国。
人の領域たるこの大陸の国々は、攻勢をどうにか抑え込み、不利な条件下で生き抜くことを余儀なくされた。
だが、我らにも、そのような事態が起こった時のために、対抗策を講じることが許されていたのだ。鍵の盟約以来、天使の介入を防ぐことに成功した、唯一の地であるここ、イニティウムにそれはある。
北東の果て、主なき盟約の鍵が封じられた洞穴にて、「救世の魔女」が目覚めを待っている。我らにとって、最も大きな希望が。
イニティウムの「教会」の盟主、イヴの名のもとに命じる。救世の魔女を目覚めさせ、導きを与えよ。
そして、天使の長に必ず、確実な死を齎すのだ。
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