0-1 北東の果より

2/11
前へ
/547ページ
次へ
 拍子抜けだった。ボクがいたのは、一本道の洞窟の一番奥で、その洞窟も別に険しくはなく、ただ歩いていれば出口にまで来れるというものだった。  出てみると、後ろは大海原、前は大平原。どこに行ったらいいのか分からない、と思っていたところ。 「光の筋か……こっちに来い、って言ってるみたいだね」  その光の筋の先には、何か大きな影も見える。まっすぐそこに向かうことにした。  そこにあったのは、とても大きな壁。ここには、どうやら街があるらしい。そしてその壁に、人が寄りかかっていた。白髪の男の人。彼はボクのことを目にするなり、じっと見てからこう言った。 「なるほど、何もかも本当だったってわけか。なんというか、あまりいい気はしないな」 「えーとー……何か、やっちゃったかな?」  ムスッとしながら、「あまりいい気はしない」なんて、なかなか酷いことを言う人だな、とは思った。そんな印象は、その後の言葉で若干マシにはなった。 「ああ、すまんな。独り言だ、お前には関係ないと言えば嘘にはなりそうだが、お前は全く悪いわけじゃないから心配するな」 「いいけど、キミはなんでここにいるの? というか、ボクのこと、何かわかるの?」  いきなり記憶がなくなったと思えば、今度はわけのわからない人に絡まれた。しかも、ボクの質問に対する答えはもっとわけがわからなかった。 「単刀直入に言う。俺はお前がここに来るのを待っていた。俺がお前を呼んで、それに応えたんだ。とにかく、来てもらうぞ。俺達の『教会』にな」 「ちょっと、どういうことなんだよ!? 説明してよ──」  喋っている最中に、別の場所に飛ばされた。
/547ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加