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拍子抜けだった。ボクがいたのは、一本道の洞窟の一番奥で、その洞窟も別に険しくはなく、ただ歩いていれば出口にまで来れるというものだった。
出てみると、後ろは大海原、前は大平原。どこに行ったらいいのか分からない、と思っていたところ。
「光の筋か……こっちに来い、って言ってるみたいだね」
その光の筋の先には、何か大きな影も見える。まっすぐそこに向かうことにした。
そこにあったのは、とても大きな壁。ここには、どうやら街があるらしい。そしてその壁に、人が寄りかかっていた。白髪の男の人。彼はボクのことを目にするなり、じっと見てからこう言った。
「なるほど、何もかも本当だったってわけか。なんというか、あまりいい気はしないな」
「えーとー……何か、やっちゃったかな?」
ムスッとしながら、「あまりいい気はしない」なんて、なかなか酷いことを言う人だな、とは思った。そんな印象は、その後の言葉で若干マシにはなった。
「ああ、すまんな。独り言だ、お前には関係ないと言えば嘘にはなりそうだが、お前は全く悪いわけじゃないから心配するな」
「いいけど、キミはなんでここにいるの? というか、ボクのこと、何かわかるの?」
いきなり記憶がなくなったと思えば、今度はわけのわからない人に絡まれた。しかも、ボクの質問に対する答えはもっとわけがわからなかった。
「単刀直入に言う。俺はお前がここに来るのを待っていた。俺がお前を呼んで、それに応えたんだ。とにかく、来てもらうぞ。俺達の『教会』にな」
「ちょっと、どういうことなんだよ!? 説明してよ──」
喋っている最中に、別の場所に飛ばされた。
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