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「うん、目標達成だね。ごくろーさん」
こちらに背を向けていた椅子が、こちらを向く。声でもしかしてと思ったが、そこに座っている人物をこの目で確認して驚いた。
「え、女の子……?」
見た目からしたら、一桁の歳としか思えない女の子が、あまりにも似合わない椅子に座っていた。体型や雰囲気がまるで合っていないように見えるのに、座り慣れた様子でリンゴをかじる姿は、不思議と似合っている。
「女の子だからって驚くことはないでしょ。あなたも女の子なんだからさ」
「いや、キミがその……教会……ってとこの、トップ、なわけだよね?」
「うん」
即答された。まあ、確かにそうなんだろう。実際に、その小さな体に見合わないくらいの威厳や大人っぽい魅力は感じられる。ただの子供には出せないものだけど、それでも驚きだ。
「あー、更に心臓に悪いこと言うようで悪いが、こいつ、この街で一番長生きしてる奴なんだ」
「何それ、もしかして人じゃないのこの子……?」
「一応あれでも教会は人だと定義してる」
この世界には、とんでもない人がいるらしい。となると、ボクの人の寿命に関する知識的な記憶は何に由来しているんだろう。なんとも分からなくなってきた。
「みんなそんな感じの反応するんだよね。でもまあ、あたし特別だからさ。あ、自己紹介がまだだったね。あたしはこの教会という場所で盟主という役目をやってる、イヴっていいます。なんかプルートが勝手に呼びだしてからみんなオーナーって呼ぶけど、どうする?」
「いや、イヴさんでいいかな……いやイヴちゃん?」
「それでいいんじゃない? 子供だと思って接してくれても構わないよ」
構わないんだ。
じゃあ、お言葉に甘えることにしよう。
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