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「それで、なんでイヴちゃんは、そのー……ボクなんかを呼んだわけ?」
「説明する前に、どこまであなたが理解しているかを、こっちも理解しなきゃいけないんだ。だからあたしは、これからいくつか質問をします。いいかな?」
「うん」
どうやらこの人は、ちゃんとこっちの事情も聞いてくれるらしい。なんにも聞かずにただ連れて行くような誰かさんとは大違い。
何を聞かれても、たぶんボクは「分からない」としか答えられないけど。
「いい返事だね。じゃあまず質問。『鍵の盟約』って言葉、知ってるかな?」
「いや、知らないけど……」
なんかいきなりムズカシイ言葉が出てきた。なんか嫌な予感がする。とってもメンドクサイことを言われそうというか。
「じゃあ、『天使』というものは、どういうものかちゃんと分かる?」
「なんとなーく、聞き覚えがあるような……?」
「じゃあ、確実にどういうものかっていうイメージはないわけだね」
「まあ、そうなるかなぁ」
この二つの質問で、ボクがなーんにも知らないことを理解したからなのか、一つため息をついてから、イヴちゃんはプルートのことを睨んだ。
「プルート、この子なーんにも覚えてないよ。この世界の常識も身についてないみたい」
「みたいだな。それで?」
「あなたのことだから、こんな状態の子を相手に、なんにも説明してないんじゃないかなーって思って」
大当たり。割と「つべこべ言わずこっちに来い」の調子だった。それを指摘されたのが痛かったのか、プルートもだんまり。そして一言。
「俺に説明できることって、あったか?」
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