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私が持っていたPCを取ってテーブルに置くとアキ君がこっちを見て言った。
「今度のふうちゃんの休みに、一緒に見に行こ?」
「…わかった。」
そう答えると、満面の笑みのアキ君に抱きしめられた。
「ありがとうっ!ふうちゃん!」
さっきからずっと抱きしめたかった温もりに私も抱きしめ返して広い背中をポンポンと叩いた。
「でも、これからは勝手に決めないでね。」
「うん」
私の肩に顔を埋めたまま、コクコク頷くアキ君。
「アキ君、前はいつ見に行ったの?」
「見てないよ。」
「え?」
「まだ実際には見てない。ネットで写真見ただけ。」
「えぇ!実物見ないでお家買っちゃったの?」
思わずアキ君から離れてその顔を見た。
私のリアクションに少し焦った表情のアキ君。
「だって不動産屋さんに電話したらすごい希少物件だから早くしないと売れちゃうって言われて…。」
呆れて物が言えないとはこのこと。
「ほら、今リモートワークとか出来るようになってきて、田舎暮らしする人増えてるから、古民家とかも人気でね、いい物件は情報が出たらすぐに問い合わせがたくさんきて契約済み!ってなっちゃうらしくて…。」
無言の私にアキ君がゴニョゴニョ頑張って説明する。
もし、値段に見合わないような立地だったり、重大な欠陥があったらどうするつもりなの?
まぁ実際見たところで全てわかるわけではないけど。
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