コリン坊っちゃまの秘密の花園

男の子は何で出来てるの？

　男の子は何で出来てるの？
　カエルにカタツムリ
　それに子犬のしっぽ
　そう言ったもので男の子は出来てるよ
　女の子は何で出来てるの？
　砂糖にスパイス
　それに素敵なものすべて
　そう言ったもので女の子は出来てるよ

　…若干、女尊男卑でないかと思うのは僕だけかな。何だか男の子が、女の子に比べ頭が悪く単純であると言われているような。まぁ、それはそれで一面の真実を突いてはいるのだろう。
　それに、世はまだまだ男性上位の時代である。女性に参政権が与えられるのは、ようやっと今から７年ほど後の話。歌詞の中だけでも優越を求めるのは、仕方のない話かな。僕はインド生まれと言え、生粋の英国紳士を自覚している。レディファーストの精神は、幼少より叩き込まれているよ。
　改めまして、みなさんこんにちは。コリン・レノックスだ。ご機嫌いかがかな？生憎と、僕自身のご機嫌はあまり宜しくない。
　伯父の屋敷は、荒涼としたムーアの外れにあった。邸から迎えに来た家政婦…ミセス・メドロックも、このように語ったよ。
　「立派で広いお屋敷なんですけど、陰気でねぇ。なにせ、築600年。部屋は百室近くあるけど、ほとんどは締め切られて鍵がかかっています」
　確かにまぁ、陰気で古い屋敷ではあったよ。しかし正直、雨風を防げるだけで十分だよ。あのまま、インドで一人路頭に迷うよりはね。身寄りのないこの僕を引き取って頂いたのだから、文句のひとつもありようがない。
　また屋敷の主人である伯父上は、この僕に会おうとしない。これも、事情を聞けば仕方のない事だよ。伯父は生来病弱で、気難しい方と聞いている。近代では差別的な表現となっているけど、背中に瘤が生える病気だよ。身分は高いが、幼少より周囲からどれだけ好奇の目で見られたものか想像に難くない。
　追い打ちをかけるように、彼の妻…。僕から言って伯母上も、若くして亡くなられたのだと。人目を避け生活するようになるのも、自然の道理と言うやつだろう。
　「話し相手がいるだなんて、期待しないこと。一人で遊んで、自分の面倒は自分で見るんですよ」
　家政婦長だか知らないが、随分と偉そうな口を聞く女だ。まぁ、これも気にしないよ。述べたように、屋敷の主人は伯父上であるし。それに、こちとら幼少より放任され孤独には慣れている。いい年なのだから、自分の面倒とやらもご自分で見てやるさ。
　万事、天涯孤独の人生には身に余る光栄である。それでは、如何なる理由をもって僕の機嫌は宜しくないのかって？
　「そうそう。この本を頭に乗せて、落とさないように歩くのですよ。淑女にとっての、嗜みと言えるものですわ」

　…あぁ。この展開は、∀○○○ムで見たやつだな。なぜだか僕は、屋敷の到着と同時に女の子の衣服を着せられた。そして頭には金髪のヅラを被らされ、淑女らしく歩く練習をさせられている。
　そうはならんやろって？今現在、実際にこうしてなっているのだから仕方がないだろう！