ある意味、初めての夜

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「そういえば、そうですね。  あ、この素敵なガラスの器、お借りしても大丈夫ですか?」  和香が手にしていたのは、引っ越し祝いに友人がくれたものだった。 「いいぞ」 と言ったが、和香は切るのは得意だが、並べるのは得意ではないらしく。 「……私、こういうセンスないんですよね」 と渋い顔をするので、並べ直してやる。  和香は喜び、 「課長はやっぱりセンスいいですね。  切る私と並べる課長。  二人そろうと、ちょうどいい感じですね」 と言う。  二人そろうと、ちょうどいいと言われて、ちょっと嬉しかったが、和香は微笑み、 「二人そろってたら、技術力アップで、高く雇ってもらえそうです」 と言い出す。 「……ヨーロッパの片田舎のおばあさんの食堂にか」
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