ある意味、初めての夜

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 だが、さっきの、にこ、からいっても、話しそうにないな、と思った耀は違うことで気になっていることを訊いてみた。 「そういえば、『尊敬しています』ってスマホで打った話をしていたが。  誰に向かって打ったんだ?」  ああ、あれですか、と和香は笑う。 「打ったのは、美那さんにだったんですけど。  尊敬しているのは、猫です」 「猫!?」 「猫を尊敬しています、と美那さんに打ったんです」 「どういう状況で、猫を尊敬したんだ。  そして、何故、蒼井(あおい)にそんなメッセージを送るんだ」  せめて、蒼井を尊敬してやれ、と言うと、 「いやあ、美那さんのことは尊敬してますよ」 と言ったあと、 「単に猫みたいに、身軽で気ままに生きてみたいなと思ったんで。  その話をしただけです」 と和香は言う。
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