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「そうなんですよ。
それで、うち、プチトマトが森みたいになってて。
庭中に大繁殖して、冬でも、ずっとなってたんですよ」
プチトマトの森……。
ちょっとファンタジーな感じだ。
「プチトマト、ほんとに、すごい繁殖力ですよね。
庭一面に広がったプチトマト見てると、人間って、なんてちっぽな存在なんだって思って。
人類がプチトマトに勝てる未来が見えてこないんですよね……」
しみじみと語る和香に、戦おうとするなよ、プチトマトと、と思う。
っていうか、プチトマトに勝てない人類ってなんだよ。
せめて、トマトと戦え、と思ったとき、美那が、
「まだ繁殖してんの? そのプチトマト」
と和香に訊いた。
「さあ?
最近、実家帰ってないので」
実家っ。
姉っ、と忘れようと思っていた、謎の姉のことが頭に蘇る。
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