ある意味、初めての夜

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 ここからだとすぐそこなのに。  家を建てたのは、図書館に近いからじゃないだなんて。  なんてもったいない、と和香が思ったとき、ガチャリと中世の扉みたいな玄関扉が開き、耀が出てきた。  なんで中世の扉みたいかと言うと、木とアイアンでできているからだ。 「課長じゃないですか」 と声をかけると、耀は、ぎょっとする。 「こんなところで出会うなんて奇遇ですね」 と言って、 「ここ、俺の家だからな……」 と言われてしまったが。  いやいや、ここが自分の家だとしても、ずっと外に突っ立ってるわけじゃないじゃないですか。  なにかのゲームのキャラじゃあるまいし、と和香は思っていた。
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