ある意味、初めての夜

87/186
前へ
/411ページ
次へ
  「……俺の家が知らないうちに、お前の妄想により、蹂躙されていたとは」  図書館に入った耀は、たまたま和香と同じ棚を眺めていた。  旅に関する棚なのだが。  ……あくまでも、たまたまだ。 「いえいえ。  素敵な家だな~と思って眺めていただけですよ」  そんなことを言いながら、和香は銭湯の本などめくっている。  そんな和香の横顔を見ながら、耀は思う。  ……あの家が好きか?  では、住んでいる人間はどうなんだ?
/411ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2410人が本棚に入れています
本棚に追加