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なにが面白いのか、和香は古い銭湯の写真を見ながら、にまにましている。
俺はこいつの何処がいいのだろうかな、と耀は思う。
たまに見せるミステリアスなところだろうか。
それとも、ふいに見せる、いつもの間抜けヅラとはかけ離れた憂い顔がいいのだろうか。
そんなことを考えていると、銭湯の本を見ながら、和香が突然、ふふふと笑い出した。
小声で言う。
「そういえば、この間、『尊敬しています』ってスマホで打ったら、『村系しています』って出たんですよね。
『山村』の『村』に、『系外銀河』の『系』なんですけど」
それだけ言うと、和香はまた無言で本を読みはじめる。
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