ある意味、初めての夜

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 飼いはじめた可愛い仔犬を初めて散歩に連れていったら、すごくはしゃいだので、自分まで嬉しくなった――。  そんな感じだった。  頭の中に、わふわふわふわふわふっ、と公園を喜び飛び回る真っ白な小型犬の幻が見えた。  この家を建ててよかった、と建てたときより、思ったし。  走馬灯のように蘇る地鎮祭や棟上げ式をこいつと一緒にやりたかったな、と思ってしまった。  わふわふ喜んで、餅を撒いてそうだ。  そう思ったこの時点では、和香の存在はまだ、『珍しくて可愛い愛玩動物みたいなやつ』という域をいまいち出ていなかったように思う。
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