ピー助!

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きっかけはノリコさんが、家のことをもう少ししてほしいと言ったことだ。 コージは、俺は曲作りをしなきゃならなくてヒマじゃないんだ、とつっかかった。 ノリコさんがふて腐れて、生活費を全部自分が払ってることをもちだすと、コージは逆ギレした。 「誰のおかげで飯が食えてるとか、昭和のオヤジみたいなこと言うなよ!」 やつはそう捨て台詞を吐いて、ドアをバシンと閉めた。 ノリコさんは、すっかりしおれてしまって、台所でカモミールティーをいれはじめた。 仕事で疲れて帰ってきたときとか、落ちこんだとき、ノリコさんはカモミールティーを飲む。 りんごと白い花をまぜたみたいな、ほのかに甘い匂いがする。 これを飲むと、元気がでるんだ。 ノリコさんがソファーでカモミールティーを飲みながら、ひと息ついていると、コージがこそっとリビングのドアを開けて顔をだした。 「ごめん……。さっきは怒って。でも俺、音楽に命かけてるからさ。曲のアイデアがでたとき、べつのことすると、気持ちが乱れるっていうか。バンド仲間も期待してるから、あせっちゃって」 「ごめんね、コージ。私、もっとちゃんと応援する」 二人はそう言って仲なおりしたんだよ。 でも、オレは知ってるよ。コージが普段なにしてるか。 コージは曲作りと練習が忙しいっ­て言ってるけど、こいつはギター持ってるより、プレステのコントローラー持ってる時間のが長いよ。 オレはノリコさんの留守中、コージが家でなにして­るか、見てるから知ってるんだ。 教えてあげたいけど、どう伝えたらいいかわからない。 そんなこと考えてたら、ある日コージが、ノリコさんの留守中に、知らな­い女の人をつれてきたんだよ。
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