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『今ならなんと! ◎%○お買いあげの方に、もう一個ついてくる! ※△○お早めにっ!』
「おかーさーん! ヨッシーが通販してる!」
台所で夕食の準備をしていたお母さんと、べつの部屋にいたマキ姉ちゃんが駆けつけた。
おおっ、すごくウケてるな。
オレはサービスして、オープニングの音楽から『お電話お待ちしています』まで、何度もお気に入りの台詞を繰り返した。
「あはは、声までそっくりじゃん。ちょーうけるー」
マキ姉ちゃんは、スマホでオレの動画を撮って、友達に送った。
すると、この動画を使えば買い主を探せるのでは? という話になり、翌日マキ姉ちゃんと同じ中学でフォロワーがたくさんいるミツヤ先輩という人に頼んで、オレを見つけた経緯とこの動画を、ツイッターに投稿してもらった。
そして次の日、
「うわっ、バズってる!」
オレの動画はリツイートされまくって、二百万回再生されていた。
マキ姉ちゃんたちの作戦は大成功で、拡散された動画をノリコさんが発見して、迎えに来てくれた。
そのときわかったのは、ノリコさんの家からここまで、県境を越えて二十キロも離れてたってこと。
またマイキーがギャンギャンほえて、玄関のドアが開くと、ひんやりした秋の夜を背に、大きなお菓子の箱を抱えたノリコさんが立っていた。
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