禍蟲の夜に

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 金粉が爆発四散したような、日光のギラめきが凪ぐ。  やがて銅粉を撒いたような黄昏れの後に悔しいほど、煌めく粒が散りばめられたくすんだ夜が訪れる。  ようやく目を覚ませる。  今の世界は昼には生きていけないのだ。  なんでもない夏の日に。  少し前に人類の平和は幕を閉じた。  何らかの化学兵器にでもよるものなのか、それとも人智を超えた未知の力なのか。  人々はおろか、地球上の生き物の殆どがその姿形そして中身を蟲へと化したのだ。  カマキリのような鎌を持つ人だったもの。  複眼をてからせる鳩だった生き物。  川面を跳ねるキチン質の羽根を拡げる魚だった生き物。  僕は多分まだ人間だろうけど、いつああなるのか分からない。  とても怖い。  自分の知性が壊れそうで、でもそれが救いのような気もして。
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