うらめしや(漫画)

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うらめしや(漫画)

 「魔木子」の名前、ちょっとエッチなレディースコミックなどで見たことがある方も多いのではないでしょうか? その魔木子の全26巻、完結済みの漫画です。ジャンルはオカルトとかホラーになるのかな。  時は江戸時代、場所は花のお江戸。  主人公は「うらめしやのお妖」と呼ばれる一人の女。江戸一番の霊力の持ち主で、不思議な事件を解決しているものの、薄気味悪いと嫌われ者でもあったりします。  その力ゆえに実の親からも疎まれ、本人もちょっとした人嫌いで世をすねて斜めに物を見ていたりもする。人間よりも幽霊や化け物と呼ばれる「モノ」に親しみを感じたりする部分があり、時には人間よりもそういった「モノ」の方に力を貸したりすることも。  そのお妖がある時一人の男と出会います。  男の名は佐治(さじ)、「疾風(はやて)の佐治」との異名を持つ、ちょっとしたチンピラです。お妖との出会いも酔っ払ってふらふら歩いているお妖から財布をすろうとして腕を掴まれたのが始まり。  親がなく、子供の頃から生きるためにはどんなことでもやってきた佐治ですが、実はかなりの人情家、お妖のさびしい心も理解して、いつしか二人は深く理解し合っていきます。  お妖と佐治の前には次々と色んな問題や、相談事が持ち込まれてきて、それを解決してお話は進んでいきます。お妖に横恋慕する化け狐の東火(とうか)や妖怪の親分ぬらりひょんなどが出てきたり、霊力ゼロの佐治の優しい心で救われるモノもあったりします。本当に色々な読み切りの話が集まって一つの大きな話になっていて、きっと好きな話が見つかるはず。    最初にジャンルはオカルトとかホラーと書きましたが、私はこの作品は人情物だと思います。  私の好きな時代劇でうらめしやをやってくれないか、とかなり前から真剣に思うほど。それほど時代劇ファンにも受け入れてもらえる作品だと思っています。  ただ、途中からかなり話が壮大になり、結果としてお妖と佐治のひ孫の「かごめ」の代になってやっと完全に解決になるもので、後半は好みが分かれるかも知れません。  前半、「おばけ長屋」と呼ばれる妖しい住人たちが住む長屋を舞台に色々な事件を解決し、色々な人や「あやかし」たちと交流する時代。  中盤と言っていいのかどうかは分かりませんが、ふとしたことから手に入れた町のはずれの一軒家に引っ越し、料理上手な佐治が「うらめしや」と名付けた飯屋を始めてから、悲しく、本来なら受け入れがたい出来事や、お妖の昔の話が絡んできて、かなり不思議度が高まってきます。登場人物も増えて、どんどん規模が大きくなってくる。  どうしてお妖がそんなに強い霊力を持つようになったか、などの話も出てきます。  そしてその次、終盤には京都の陰陽師などもからんできて、江戸滅亡の危機など、かなりかなりかなーり話が大きくなってきて、そしてラストには……  個人的には前半の「おばけ長屋」時代が一番好きです。ドラマ化してもらうのもこのあたりまでかな、と。  全26巻と外伝の「かごめ」7巻の合わせて33巻で完結、かなり長くなりますので、初期の「おばけ長屋」時代だけでも読んでいただけたらうれしいなとお勧めします。  いや、本当、こういうのをドラマにして、日本もばんばん世界に売っていってほしい。今勢いのあるアジアドラマに負けずに、日本の時代劇をもっともっと世界に!  そうそう、一言だけちょっとご注意を。  魔木子という作家さん、最初にも書きましたがかなりエッチな漫画を描いていらっしゃるからか、1巻は少しばかり子供さんに見せるの注意な話も出てきます。そこだけはどうぞお気をつけてお読みください。
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