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さようなら
ボクが生まれた時には、すでに貴女は側にいた。母の経営する手作りアクセサリーショップの店員として。
その時の貴女は18歳で、それから14年の年月。ボクの家族同様に一緒に歩んできましたね。ボクの隣には常に貴女がいました。
ボクが貴女に恋をしている事に気がついのは幼稚園の頃。ボクはせっせと貴女に手紙を書いて贈っていましたね。
でも当時のボクは字もろくに書けないものだから、ハートマークを一杯にしたためたラブレターでした。
今、思い出しても恥ずかしい思い出です。
他にも貴女の誕生日にウサギのヌイグルミをプレゼントしたこともありましたね。
まぁもっとも。手渡すのが恥ずかしくて店と併設されている工房に置いて逃げたのですが。
後日。貴女にお礼を言われた時は知らないフリをしてしまいました。
バレバレなのにね。
でも、しょうがなかったんです。どうしても恥ずかしかったから。
そんな貴女に恋人ができた時。ボクはショックを受けました。どんなに泣いたか貴女は知っていますか?
あれは本当に辛かった。
自分が子供であることが、どれだけ悔しかったか。
そして今日。貴女は結婚をする。
ボクの知らない誰かと。
ごめんなさい。
ボクは貴女を笑顔で送り出すことも出来ずに、また泣いています。
本当は祝福しなければいけないのに。
貴女の新しい門出と、そして貴女のお腹の中にいる赤ん坊が無事に生まれ、育つことを祝わないといけないのに。
ボクは。ボクは……
今でも貴女のことが好きです。
きっと、これからも。
ボクとの子を宜しくおねがいします。
旦那さんには内緒でね!
それでは、さようなら。
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